専用カプセルや最安値 加熱式たばこに“第4の勢力”

【経済インサイド】 

 愛煙家にとって肩身が狭くなりつつある喫煙環境だが、火を使わない「加熱式たばこ」市場がさらなる賑わいを見せている。先行する大手3社が喫煙器具(デバイス)や、専用たばこのフレーバーを拡充する一方、“第4の勢力”の新ブランドが全国展開を開始した。紙巻きたばこと異なり、デバイス購入という先行投資が必須な加熱式だが、使い始めてみて分かった“ちょっとした不満”を解消できるなら変えたいところ。今夏、商品発表された新型デバイスを中心に、試し喫煙(試喫)してみた。

 「glo(グロー)」を展開するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)は、自社サイトや大都市圏など一部地域で販売中の「glo sens(グロー・センス)」を11月14日に、「glo pro(グロー・プロ)」を12月9日に、それぞれ全国展開へと切り替える。

 グロー・センスは低温加熱式。たばこ葉の入った「たばこ・ポッド」と呼ぶ専用カプセルと、蒸気とフレーバーの素が入ったカートリッジを専用デバイスに装着、蒸気を吸引するスタイルだ。専用たばこ1箱(カプセル3個、カートリッジ1個)で180回吸引でき、紙巻きたばこ20本分に相当する。

 デバイスそのものは握りやすく、デバイスのボタンを3回、素早く押すと白色ライトが5秒点灯し、吸える状態になる。喫煙時もボタンを押しながら吸引しなければならない手間はあるものの、軽く吸っただけなのに大量のベイパー(水蒸気)が呼気から出るのはかなり面白い。

 メンソール系の「ネオ・クリスプ・メンソール・ポッド」は、ほんのり甘めのミント。変わり種の「ネオ・ドルチェ・ティラミス・ポッド」は、砂糖なしの苦めのミルクコーヒーの味わい。紙巻きたばこと比べ、たばこ感は軽い。競合するのは日本たばこ産業(JT)の低温加熱式「プルーム・テック・プラス」だが、呼気のベイパー量はグロー・センスの方が多かった。

 一方、「グロー・プロ」は専用たばこが従来機と同じ。加熱するヒーター部分にIHコンロと同じ誘導加熱技術を導入したことで、1台で2通りの加熱温度を作り出し、2通りの味わいが楽しめる。

 専用たばこを挿してボタンを1回押すと、1回振動して250度で加熱開始。加熱時間は20秒で従来機の半分で吸い始められる。ボタンを長押ししたままにすると2回振動して280度に設定され、10秒加熱。吸い出しが早いのが「すぐ吸いたい」との欲求を満たしてくれてうれしいところ。加熱温度が上がるとその分、たばこ感は強くなるので、グローは軽いと感じていた人には向いているかも。ただし、280度は250度に比べ喫煙時間は短くなるし、連続使いすると本体が熱くなる点は要注意だ。

 低温加熱式や従来より高温加熱ができるデバイスを投入することで、プルーム・テックや国内で先行するフィリップ・モリス・ジャパン(PMJ)の「アイコス」から顧客を獲得する狙いが見える。

 全くの“新顔”は、インペリアル・タバコ・ジャパンの「PULZE(パルズ)」で、今年5月に福岡限定で発売。10月から一部の大手コンビニチェーンや量販店などで、全国展開を始めた。デバイス(希望小売価格3880円)や専用たばこ「iD(アイディー)・スティック」(1箱20本、460円)は、ともに加熱式としては最安値を打ち出した。

 デバイスに専用たばこを入れると、熱源のピンに刺さり直接加熱する点ではアイコスに似ているが、加熱温度が標準(345度)とエコ(315度)の2通りなのは工夫が見える。ボタンを1回押してライトが点灯する間、もう一度ボタンを押すと1回振動、標準で加熱が始まる。さらに押し続けると2回目の振動が来てエコに切り替わる。加熱時間は20秒と短い。喫煙し始めて数回は「吸えない」感じだが、吸いごたえは標準の方が強く、エコは軽め。フル充電で連続喫煙できる。デバイス内のピンにたばこ葉が焼き付くけれど、喫煙後のイヤな臭いがほとんどない。

 JTは11月1日にプルーム・テック・プラスで新フレーバーを発売、PMジャパンは事実上の分割払い制度を入れるなどサービス向上プランを導入した。加熱式たばこは昨年10月の課税制度改正を皮切りに、令和4年10月まで年に1回、課税方式が段階的に見直され、税率が紙巻きたばこに近くなる。嗜好品であるたばこは銘柄変更が起こりにくいだけに、顧客獲得競争が続きそうだ。(経済本部 日野稚子)

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