“モンスター台風”の教訓は緊縮財政の転換

 【お金は知っている】

 モンスター台風19号の凄さは「台風銀座」高知県で育った筆者にとっても想像を絶した。

 19号の接近を受けて、13日のラグビー・ワールドカップ、日本対スコットランドの試合開催が一時は危ぶまれた。スコットランド側は「中止するなら、ただではおかない」と息巻いたが、台風の怖さを知らなければ無理もなかった。

 つい最近までの4年間、スコットランドで暮らした身内の話では、同地には台風もハリケーンもなく、秋になれば、寒い風が吹く絶好のラグビー日和が多くなる。

 異常気象がなせる災厄は今や日本列島の広汎な地域を襲う。地元自治体の対策は、ひたすら早く安全な場所に逃げよ、という懸命の警告であり、関係者の献身的な周知徹底作業には頭が下がる。

 問題なのは中央政府の本来の責務である。災害を減らすためのインフラ投資の立案と実行だ。今災害の堤防決壊個所についての専門家の後講釈を聞くと、あきらかに脆弱(ぜいじゃく)なのに放置されていたケースが目立つ。政府・与党は以前から「国土強靭化」と言っていたのにどうなっているのか。

 グラフは政府によるインフラ投資が大半を占める公共投資(国内総生産=GDP用語で「総固定資本形成」と呼ぶ)の推移である。固定資本はもちろん老朽化(減耗)が進むので、その分を差し引くとネットの固定資本増加額がわかる。

 公共投資は1995年度をピークに減り続け、現在に至る。削減の理由はひとえに財政健全化のためである。第1次安倍晋三政権が関わった2007年度には1995年度比で15・4兆円も減っている。「コンクリートから人へ」というスローガンを掲げ、「事業仕分け」に血道を挙げた民主党政権の2012年度は同16・3兆円減だ。アベノミクスを打ち出した第2次安倍政権の17年度は同13・8兆円減と、民主党政権時代よりは若干投資規模を増やしたが、「悪夢のような」緊縮路線を放棄したとはとても言えまい。

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