F1日本グランプリ “オールホンダ”でF1じわり復権 航空技術も生かし再び優勝争い一角に

 自動車レース最高峰のF1シリーズで、4年前に日本勢唯一のエンジン系供給者として再参戦したホンダが、ジェット機部門なども含めた「オールホンダ」の技術陣の奮闘で優勝争いの一角に復権してきている。13日の日本グランプリ(GP、三重県の鈴鹿サーキット)では全20台中最高4位にとどまったものの、今年は、復帰後一度も優勝できなかった昨年までとは打ってかわってすでに2勝。激変した動力ルールによる苦戦を、技術の総力を結集して乗り越えつつある。

 台風の影響が心配されたが無事開催された日本GP決勝。「レッドブル・ホンダ」で今期2勝している期待のフェルスタッペンは衝突の影響でリタイアとなったが、アルボンが予選6位から4位に追い上げた。また「トロロッソ・ホンダ」のガスリーが8位につけ、計2台が入賞。応援したホンダ関係者は「昨年まではエンジン系トラブルで完走すらできない時もあった。よく踏んばった」と健闘をたたえる。

 「ここ2年、先進研究部門が技術を持ち寄って成長してきた」。F1パワーユニット(PU)開発責任者、浅木泰昭・本田技術研究所執行役員は語る。以前は四輪モータースポーツ専属技術者だけで挑んでいたが、浅木氏らのテコ入れで平成30年以降、小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の航空機部門、市販車部品の試作部門、燃料開発部門などホンダの技術の総力体制を構築したのだ。

 平成元年前後に「マクラーレン・ホンダ」としてアイルトン・セナら名ドライバーと黄金時代を築いたホンダだが、リーマン・ショック後の20年に一時撤退。その撤退中に、F1はルールが大きく変わっていた。

 以前は大馬力の内燃機関で競ったが新ルールは環境時代に対応。エンジンの燃料量や排気量を制限した上で、ブレーキや排ガス熱から回収したエネルギーで電気モーターも回すハイブリッド式PUとなり、高エネルギー効率の先進技術力が問われる時代となった。

 こうした中でホンダは27年に再参戦したが、市販車よりはるかに複雑なハイブリッドの耐久性向上や効率化に苦戦。部品が壊れるトラブルが続き、独メルセデス・ベンツや伊フェラーリのPUのパワーに後れを取っていた。

 だが、その苦境を脱したのがオールホンダの力。故障続きだったパーツをジェットエンジン技術の応用で改良するなどした結果、徐々に成果が出始めた。日本GPで12勝目を上げたメルセデスの壁はなお高いが、「昨年途中に、よい効率の上げ方に気づいた」(浅木氏)と反転の糸口をつかみつつある。

 F1の技術と人材は市販車にも生きる。過酷な環境で磨く技術力は、排気量やサイズが制限された軽自動車開発などに応用でき、その証拠に2年連続で国内販売台数首位を走る軽「N-BOX」は、昭和期からF1に関わってきた浅木氏が生みの親だ。「ハイブリッドに関係する電気自動車(EV)は歴史がまだ浅いがF1は“走る実験室”。さまざまな挑戦をし、市販車にもいずれ役立てたい」。浅木氏は技術陣を代表してこう語っている。(今村義丈)

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