“腐ったミカン”を排除せず、社員を奴隷扱い「日本企業の大欠陥」

人事部が会社をダメにする

 経営のリーダーにとって本当にありがたい社員は、そこそこ地頭がよく、未知の状況でも対応策が考えられる。唯我独尊でなく、会社が意気消沈しているときにはムードメーカーになれるという人材だ。そして最も重要なのが、邪悪ではなく、自分(トップ)を裏切らないことだ。

 これは従来の「優秀な」社員像とかなり違う。品行方正、人格円満、学業優秀、リーダーの素養があり、決められたことはそつなくこなす「金太郎あめ」的な社員の出番は、メーカーでも銀行でも、もうない。

 経営者にとって最も恐ろしい「明智光秀」にさえならなければ、出来が悪くても構わない。むしろ「奴隷」的に酷使できるので、凡庸愚直もウエルカムというのが本音だろう。

 日本企業の大欠陥の一つは、社員を奴隷扱いしてきたことだ。今でもこうしたメンタリティーは生きている。それが外部に露呈すると「ブラック企業」といわれるが、多くの会社ではひそかに社内ハラスメントやいじめが横行している。外国企業でもいじめやセクハラはあるが、多くの社員が加担するいじめがこれほど蔓延(まんえん)しているのは日本企業のみだ。学校時代から引き継がれた悪しき文化の一つだろう。

 伸びる企業にはこうしたハラスメントやいじめが少ない。敵を外に作る、そのために内では結束するということも一つの理由だが、市場や業績が上向きの時はこうした社内政治や人間疎外をしている暇がない。

 邪悪な人間はいても、すぐに居心地が悪くなって辞める。1人いるだけで他の9人の活力を奪う「腐ったミカン」を排除することこそ、人事部がやるべきなのだが、それを実行している企業は少ない。

 「内部告発」という手もある。多くの外国企業が社内のウミを出したが、日本では動機を問わず、「裏切り」とみる傾向があるので行いづらい。マスコミへの情報提供も、よほど超弩級(ちょうどきゅう)の秘密情報なら別だが、有用性は限定される。

 そうした状況のなか、社員が人間であることを社内の各部門が認識して評価、対応すれば多くの会社をむしばむ社員のメンタルの問題やいじめの問題はかなり改善されるだろう。各社の人事部がなすべきことは権限の強化でなく、自ら剥奪、弱体化することだ。その代わりの機能を各部門に持たせればよい。研修と内部告発に対応するだけでも仕事は山ほどある。

 ■津田倫男(つだ・みちお) フレイムワーク・マネジメント代表。1957年生まれ。都市銀行、外資系銀行などを経て独立。企業アドバイザーとして戦略的提携や海外進出、人材開発などを助言する。著書に『地銀・信金 ダブル消滅』(朝日新書)など。

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