人事部が強いのは邦銀だけ… 平成の「敗北と挫折」の真因

【人事部が会社をダメにする】

 ある財界リーダーが、平成の30年あまりを総括して、「敗北と挫折」がキーワードだと表現した。これはかなり当たっている。日本経済が30年の停滞を経験している間に、中国などの新興国が経済規模で日本を追い抜いた。

 体たらくの理由として大きいのが経営の質だ。リスクを取らない、取り方がよく分からない、自分で決められない、決めたことでも失敗すると責任を負わない-。こうしたリーダー層のあり方が下へも広がり、日本は変化それ自体を悪として嫌う国になってしまった。

 銀行や信用金庫がそのよい例だが、どう考えても地方の人口が大幅に減少、しかも高齢化する中、従来型のやり方ではうまくいかない。それを大きく変えるには自己改造、特に組織と人のあり方と経営体そのものに手を付けなければならない-と外の人間でも分かるのに何もしない。

 行員や職員の一人一人には改革意欲があるかもしれないが、トップの意をくむ人事部が押さえつけてしまうのだろう。

 世界を見渡すと、人事部が強い日本の銀行の方が例外に属する。欧米やアジアの銀行では人事部とは、単に新規入行してくる行員に福利厚生を説明し、各層に対して研修を担当する部署である。

 その結果、海外の銀行では1980年代から人事部で活躍する女性幹部が多かった。投資銀行部門やディーリング部門で活躍の場を得にくかった女性行員が救われたという面もあるが、とにかく米銀などでは人事部の幹部は過半が女性だった。

 邦銀と違って行員の査定を人事部は行わない。やるのは各営業部門、それも直属の上司のみだ。形式的には「180度評価」や「360度査定」も行われていたが、意味がないことは誰もが承知していた。

 これではバランスを欠く、相性が悪いと能力も正当に評価されないと邦銀の人事部は言うだろうが、自分たちが本当に色眼鏡で行員を見ていないと断言できるのだろうか。トップや役員の覚えめでたい行員への評価は甘く、そうでないものへは厳しい。そんな評価、査定や昇進・昇格を行ってこなかっただろうか。

 かつて銀行で人事部長を経験したものはほぼ全員役員となり、頭取、会長にのぼりつめたケースも多かった。最近では「企画部長」がそれに替わっているが、人事と性格が似ている点では大差ない。銀行、信金は人事部の権力を大きく削減するところから始めないと自己改革はおぼつかない。

 ■津田倫男(つだ・みちお) フレイムワーク・マネジメント代表。1957年生まれ。都市銀行、外資系銀行などを経て独立。企業アドバイザーとして戦略的提携や海外進出、人材開発などを助言する。著書に『地銀・信金 ダブル消滅』(朝日新書)など。

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