中国“失敗”で暗雲も…脱・「液晶のシャープ」、8Kを軸に再成長を目指す

 経営危機から立ち直ったシャープが、超高精細映像技術「8K」を軸に再成長を目指している。テレビ向けの液晶パネルの販売にとどまらず、下水道といったインフラ保守や医療、教育などの分野で技術を応用し、市場の開拓を試みている。平成28年8月に台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入って3年あまり。米中貿易摩擦の影響などで足元の業績が揺らぐ中、かつての「液晶のシャープ」は「8Kのシャープ」に生まれ変わろうとしている。(林佳代子)

下水道、亀裂自動検知

 東京都港区のビルの一室にある「8Kラボ クリエイティブスタジオ」。ビデオカメラやディスプレーなど約20種類の8K関連の機材が並び、実際に機材に触れながら撮影や映像編集を体験することができる。シャープが今年6月に法人顧客を対象に開設した完全予約制の商談スペースだ。

 画素数が従来のフルハイビジョンの16倍という特徴から、8Kには幅広い分野のニーズがある。商談には技術者が立ち会い、顧客ごとの要望に応じて製品やサービスを検討。当初は年間200社の来場を目標に掲げていたが、開設から3カ月足らずで70社を超え、すでに10件以上の製品の納入が決まった。

 例えば美術館向けには、スマートフォンのように指で画面を拡大したり縮小したりすることで絵画の作者の筆づかいを確認できるモニターを製作。ほかにも内視鏡手術の様子を鮮明に映し出すモニターや、下水道管の細かな亀裂を自動で検知するシステムの開発を始めている。

 シャープは平成29年に世界初の8Kに対応したテレビを発売したものの、価格の高さやコンテンツ不足がネックになって普及が遅れた。さらに今年に入り、ライバルの韓国メーカーやソニーが8Kテレビの発売を表明。将来的な値下げ競争が懸念されることから、シャープはテレビ以外の分野の需要を取り込む戦略を打ち出した。

 8Kラボの伊藤典男所長は「カスタムメイドの製品やサービスは現時点で大きな利益を生まないかもしれないが、将来の利益拡大にはつながるはずだ」と期待する。当面は法人向けで年間10億円の売上高を目指す考えだ。

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