銀行で進む「脱窓口」 取引手数料引き上げ キャッシュレス新興勢力に焦りも

 消費税増税に合わせキャッシュレス決済が対象となるポイント還元制度が始まる中、銀行が現金を扱う窓口取引からの脱却を進めている。銀行にとって人手がかかる昔ながらの窓口業務は大きなコスト要因。窓口で行う入金などの手数料を引き上げることで、利用者の窓口離れを促したい考えだ。銀行にはキャッシュレス決済でIT企業などの新興勢力が台頭していることへの焦りもある。ただ、消費者を現金から引き離せば引き離すほど、利用者が銀行を訪れる機会が減る“銀行離れ”も加速しそうだ。

 三井住友銀行は12月2日から、店舗窓口で大量の硬貨を預金口座に入金する際に手数料をとる。これまでは無料だったが、301~から500枚は550円の手数料を徴収する。以後は500枚ごとに500円を加算。窓口で硬貨を数えた後に入金を取りやめても手数料がかかる。

 三井住友は窓口での海外送金の手数料も同時に引き上げる。メガバンクではすでに三菱UFJ銀行が6月に引き上げており、みずほ銀行も来年1月から引き上げる予定だ。

 このほか、三菱UFJは50枚入りの手形帳と小切手帳の窓口での交付手数料を4月から引き上げた。三井住友も来年4月からこの手数料を大幅に値上げする。みずほは今年10月から窓口での両替手数料、11月からは振込手数料を引き上げる。

 各行が窓口取引の手数料を引き上げる背景には、超低金利の長期化で銀行の貸し出し業務の利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小する中、窓口業務の負担を軽減させ、コスト削減や業務効率化を図る狙いがある。各行は支店の統廃合や人員削減を進めており、三菱UFJと三井住友が今年9月から銀行の店舗外にある現金自動預払機(ATM)を共通化するなど合理化の動きが目立つ。

 銀行には自らの“専売特許”だった決済や送金などの分野で新興勢力が台頭していることへの焦りもある。IT企業はスマートフォンのアプリで個人間送金が無料でできるサービスを提供しているうえ、ポイント還元などで利用者の囲い込みも図っており、メガバンク幹部も「本業のもうけを金融分野に投資しており、サービスでは銀行の先を行く」と舌を巻く。

 ただ、銀行には、中小企業や高齢者の多い地方などではまだキャッシュレス化が浸透していないという事情もある。「預金や融資の相談などは、やはり担当者に窓口で行ってもらう方が安心する」(地方商店店主)という声も多く、銀行の窓口サービスへの需要は根強い。

 銀行側は「窓口の人員を相談業務など別のサービスに重点配置して、利用価値を高める」と説明する。だが、これまで総合的な窓口サービスでつなぎ留めていた既存顧客をないがしろにすれば、顧客と銀行との距離はさらに遠のきかねない。銀行は地域や顧客ごとの特性に応じたサービスを提供できるかが問われる。(西村利也)

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