関電幹部たちが「原発キャッシュバック」の受け取りを拒否できなかったワケ

「政界キックバック」ともいうべき裏金工作

 その一方で、「森山氏側がどういう意図で金品を渡したとしても、受け取った関電幹部も大問題だ!」とご立腹の方たちも多いだろう。専門家の中でも、「公益性の高い原発をやっていてこのモラルの低さはあり得ない」という批判がわき上がっている。

 ご指摘はごもっともだ。が、関電幹部がカネを受け取ってしまったのは、彼らがそろいにそろってモラルが壊れているとかではなく、原発という事業を長くやってきたことが大きく関係している。原発をやってきたからこそ、この手のカネに対する抵抗がなく、ちょっとゴネると「はいよ」という感じで受け取ってしまうのである。

 なぜかというと、関電自身も森山氏のようなことをやって、原発導入にこぎつけてきたという歴史的経緯があるからだ。

 「漢方薬のように時間をかけて効果が出ることを期待していた」(朝日新聞 2014年7月28日)

 これは関西電力の元副社長である内藤千百里氏が、田中角栄、三木武夫、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘、竹下登らの歴代首相7人に「盆暮れに1千万円ずつ献金してきた」(同紙)という政界工作について述べた言葉である。

 電力会社は1974年に企業献金を廃止していたが、内藤氏によれば、関西電力は水面下で政治家に「カネ」を払い続けていたという。その目的はすぐに何かで便宜を図ってもらうことではなく、原発導入に対してほんの少しの「配慮」を求めただけである。だからこそ、森山氏のように「カネを受け取らせる」ことにこだわった。内藤氏がこのカネを、すぐに効果のあらわれる「薬」ではなく、「漢方」と表現したのは、そのような長期的な展望に基づくバラ撒きだったからだ。

 「天下国家のために渡すカネで、具体的な目的があったわけではない。許認可権を握られている電力会社にとって権力に対する一つの立ち居振る舞いだった」

 そんな立ち振る舞いは、72年から18年間に及んだ。この内藤氏の「政界キックバック」ともいうべき裏金工作が功を奏したからか、関西電力は多くの原発を稼働させて収益を上げることに成功。震災前は5割を超える高い原発依存度につながったという。

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