消費税10%で高まる企業の先行き不安 日銀短観

 日本銀行が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、同日からの消費税増税で景気の先行きに身構える企業の姿が浮き彫りになった。駆け込み需要の反動減は前回増税時ほど深刻化しないとみられるが、消費者の財布のひもが固くならないよう工夫を凝らす。海外経済の状況次第では一段の需要減が懸念されるため、企業も踏ん張りどころになりそうだ。

 「前回増税時と比べ駆け込み需要の影響は3分の1程度だ。住宅や自動車に関しては政府の対策が奏功したともいえるし、消費自体が落ち込んだとも取れる」

 トヨタ自動車の豊田章男社長はこう指摘する。自動車・住宅購入時の減税など経済を下支えする政府の一連の措置で、消費が長期低迷した前回の二の舞は避けられると期待するものの、「増税の心理的影響は大きく、消費者の生活防衛意識は高まる」(イオン広報担当者)と懸念は拭えない。

 このためマクドナルドやケンタッキーフライドチキンといった外食チェーンでは、定番商品など一部商品の税込み価格を軽減税率が適用されない店内飲食でも据え置くことで消費者の負担感を和らげる。吉野家は10月1~15日、牛丼と牛皿の全品で10%割引のキャンペーンを実施する。また西友が年末までセゾンカードでの支払いで3%を割り引くなど、流通各社も増税当日の10月1日からセールやキャンペーンをぶつける。

 宿泊業界では、ビジネスホテルなど宿泊料金が比較的低額な施設関係者から消費税増税が宿泊客数の減少につながるのではと懸念の声が上がっている。カプセルホテル大手のファーストキャビンでは、客足が鈍らないよう原則としては税込みの宿泊料金を変更しない。広報担当者は「増税分を負担するので経営的には厳しいが、安い料金で高いサービスを売りにリピーターを増やしてきただけに料金は変えたくない」と説明する。

 一方、景気のハードルは消費税増税だけではない。海外経済の減速による需要低迷に悩む鉄鋼業界では、「下期(10月~来年3月)は予測が難しい。世界経済は非常にリスクを抱えている」(日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長=JFEスチール社長)と懸念する。景気を下支えしてきた消費などの内需が、外需と同時に落ち込みかねない内憂外患を前に、企業の焦燥感も強まっている。

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