日銀短観 景気の牽引役がついに不在に? 消費増税、米中貿易摩擦、日韓対立…景気浮揚の材料乏しく

 日本銀行が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)では、景気維持の頼みの綱だった非製造業が落ち込み、日本経済が失速する懸念が高まってきた。米中貿易摩擦に加え、日本は消費税増税による消費低迷や欧米の中央銀行による利下げ競争、日韓関係悪化に伴う訪日客減少のリスクも抱える。景気浮揚の材料は乏しい。

 9月短観では、今年度の大企業非製造業の設備投資計画を6月調査から0・5ポイント引き下げた。前年度比では3・6%増とあって日銀は「引き続き高水準」と強調するが、伸び率は前年度(7・4%増)から半減。小売りや宿泊・飲食サービスなどで消費税増税による需要減退の影響を懸念する動きが際立っている。

 このため製造業の落ち込みを堅調な非製造業がカバーすることで国内景気を下支えしてきた近年の構図は崩れかねない状況だ。農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「人手不足を背景に唯一、力強さが残っていた非製造業の設備投資が減退すれば、日本経済の推進力が失われる」と指摘。「消費税増税で内需が減ると企業の投資意欲が薄れ、(経済)減速圧力に拍車がかかりかねない」と懸念を強める。

 増税後の個人消費の落ち込みを回避するため、政府は軽減税率制度や幼児教育の無償化、キャッシュレス決済によるポイント還元など手厚い対策を実施する。

 ただ、キャッシュレス決済のポイント還元は「1世帯当たりの恩恵は2千円程度で必ずしも大きくない」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)など、世帯によって受益は限定的。実際に消費喚起に結びつくのか疑問視する声もあり、「老後2千万円不足問題」を始めとした将来不安による過剰貯蓄でむしろ消費減速が進む可能性も指摘される。

 10月上旬開催予定の米中貿易協議の結果次第では、円高・株安に大きく振れる懸念も高まる。海外経済の悪化に加え、日本が抱える経済減速リスクが高まれば、いよいよ政府の追加経済対策と日銀の追加的な金融緩和策による政策協調の判断が迫られる。(西村利也)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ