既成概念打ち破る「ピカソ的経営」 デザインから販売まですべてを自社で 海外雑貨に負けないこだわりで勝負 レプレゼント・堀口靖弘社長

 安価でありながら高いデザイン性を誇る生活雑貨の小売店が拡大を続けている。デザインから製造、販売まですべてを自社で行う徹底ぶりで、海外の雑貨に負けないこだわりの商品で勝負する。単身米国に渡って過ごした日々が、既成概念を打ち破る原動力となった。画家を目指したこともあり、いまも絵筆を握るトップが掲げる「ピカソ的経営」とは-。(松村友二)

 --カフェを併設した雑貨店「AWESOME STORE(オーサムストア)&CAFE IKEBUKURO」が東京・池袋に2号店をオープンしました

 「ニューヨークのブルックリンをコンセプトに、2~3年の歳月をかけた店舗がようやく完成しました。店内で販売している雑貨はもちろん、カフェの雑貨やインテリアまで自社で手掛けています」

 --お手頃価格の商品が多いです

 「デザインから生産、物流、販売まですべて自社で行うことによってこの価格を実現しています。だからこそ、どこのお店にも置いていないオリジナルな商品が店頭には並んでいます。カフェで販売しているドリンクも他ではこの価格(オーガニックコーヒーが176円)で販売できないと思います」

 --商品開発に特に力を入れているようですね

 「何度来ても楽しんでもらうため、月に約100の新しいアイテムが店舗に並んでいます。ですから業務の6割が商品チェックですね。お客さまの8割が女性ですが、男性向けの商品も続々開発中です。アウトドア用品やファッション雑貨も取りそろえていますので、家族連れのお父さんにもぜひ遊びに来てもらいたいですね」

 --これまでのヒット商品は

 「まんべんなくさまざまな商品をご愛顧いただいています。そもそも永遠に売れる商品なんて存在しませんから、爆発的に1つのアイテムが売れる必要はないのです。それは約30年前に苦労した部分ですから」

 --従業員3人の会社から始まったそうですね

 「陶器メーカーの販売会社を設立しました。『キャニスター』という陶器の密閉容器を雑貨店や百貨店に販売する会社で、2年後には2億円を売り上げるまでに成長していました。ただ、1つの商品のみを販売していたので、だんだんと売れなくなり厳しい時期もありました。だからメーカーに頼らず、自ら販売しようと考えました」

 --現在の前身にあたる「レプハウス」を1990年に設立しました

 「1号店を千葉県松戸市に出店し、自分が欲しいものを取り寄せたのですが、それがイコールお客さまが求めているものではなく、全く売れませんでしたね。2年目からはセレクトショップのように良い物を世界中から集めて、取扱商品数も500から5000アイテムに増やしました。15坪の小さな土地で月900万円売り上げたこともありました」

 --思い出に残る商品は

 「ワインオープナーなどなかった時代、今では主流のウイング型を欧州で見つけて店頭に並べると、『なんだこの人形は!?』と珍しがってもらえました。乾燥したとうもろこしを電子レンジに入れるとポップコーンになるという商品は私が日本で初めて紹介しました。当時は面白いものをたくさん求めていました」

 --これまで好調だった「off&on(オフノオン)」から「オーサムストア」の出店にシフトしました

 「2014年にコペンハーゲン発の『フライングタイガー』が日本に進出したのがきっかけですね。“黒船襲来”だと思いました。弊社は国産でデザインのコンセプトも真逆でしたが、タイガーと同じ表参道に出店し、真っ向から勝負しました。日本人が好きで飽きない商品を店頭に並べることで受け入れてもらえたと思います。オーサムストアは現在47店舗ですが、国内で200~250店舗への拡大は可能だと考えています」

 --今後について

 「これからもどんどん時代は変わっていきます。EC(電子商取引)事業にも取り組んでいますし、10月には千葉に4000坪の物流センターを立ち上げます。21年には弊社最大規模となる200坪の路面店が渋谷に誕生予定です。アジアを中心に海外にも進出したいとも考えています」

 ■「行動こそがすべての成功の鍵」

 【幼少期】「地元で100人の従業員を抱える鉄鋼業を営んでいた父は忙しく、四男坊の私はそれほど多く接する時間があったわけではありません。ただ、経営者の血が流れているのか、“サラリーマン・マインド”が一切なく、タクシーで幼稚園に行っていたこともありましたね」

 【アメリカ】画家を目指して上京するも、東京芸術大学の受験に失敗。一念発起し、米ロサンゼルスへ。「3年間、お客さんが黒人とメキシコ人ばかりのリカーストア(酒店)に勤めました。治安は悪く、私がシフトに入っていないときに3回くらい強盗に入られました。当時は永住権を取得して向こうで生活するつもりでした。間違いなくターニングポイントになっています」

 【家族】妻と2人の息子。「家族全員弊社の社員です。息子には私を超えないとダメだと言っています。次の時代がどうなっているのか…。教えているだけではダメだと思っています」

 【趣味】画家にはなれなかったが、今でも絵画制作は大切な時間で、仕事終わりに2~3週間かけて筆を執っている。作品数は倉庫が必要なほどで、一部はアートパネル(1980円)として販売されている。

 【ピカソ的経営】パブロ・ピカソの言葉を会社の経営方針にしているという。「芸術の世界を劇的に変えた人物で、今も彼を超える人物はいないと思っています。自らの作品が飛ぶように売れるということを理解し、彼は版画などを用いて大量生産しました。生涯で15万点の作品を残したとされ、芸術を初めてビジネス化した人物といっていいと思います。『創造するためには、破壊する必要がある』と言う彼の言葉は、規定概念を崩さないとイノベーションが起きないということを言っているのです」

 【座右の銘】《行動こそがすべての成功の鍵》「ピカソの言葉は心に刻んでいます。オフィスにも『行動あるのみ』と掲げていますし、会議や入社式など大切なときには話します」

 【いまでも読み返す一冊】田坂広志の『成長し続けるための77の言葉』

 【酒豪】大好きなのはスコッチウイスキーで、特にシングルモルト。毎日ロック2~3杯は欠かさない。「二日酔いの経験はありません。一晩に2本のウイスキーを1人で飲んだこともあります」

 【手放せない一品】20年前に購入した「ロレックス エクスプローラーII」。「会社が軌道に乗ってきたとき、妻から『男は時計が大事』と言われて買いました。他にも10本ほど持っていますが、これが一番大切ですね」

 【会社メモ】生活雑貨やインテリア、服飾雑貨を製造及び輸入販売する小売業者で、直営店「AWESOME STORE」「off&on」を運営する。本社・東京都渋谷区。1982年2月創立。資本金5000万円、売上高非公開。従業員490人(契約社員、アルバイトなど含む)。

 ■堀口靖弘(ほりぐち・やすひろ) 1955年5月31日生まれ、64歳。佐賀県出身。74年3月県立佐賀東高校卒業。浪人生活の後、渡米し、81年米国永住権取得。82年に帰国し、有限会社レプビイハウス創業。90年社名を株式会社レプハウスと改め、輸入総合商社として再スタート。2017年現社名に変更する。

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