政府は自由な値決めを容認 一斉値上げ回避も消費者の混乱は必至

 消費税の軽減税率制度にからみ、店内飲食と持ち帰りの価格などで事業者の対応が分かれる背景には、今回の消費税増税で、政府が事業者の経営努力による自由な価格設定を容認していることが背景にある。ただ、事業者ごとに対応が異なることで、消費者にとってはさらなる混乱のタネになりそうだ。

 過去の増税時は増税分を下請け業者に負担させる「買いたたき」や、増税時の「便乗値上げ」を防ぐ観点から、政府は増税後のセールや増税以上の値上げに対し慎重だった。この結果、日本では増税時に価格が一斉に引き上げられるようになり、駆け込み需要や反動減が生じ、景気低迷の要因になっているとされている。

 しかし、価格は本来、国が指示すべきものではない。欧州では消費動向に合わせて企業が値上げの時期やタイミングを自由に選んでおり、消費の大幅な変動も生じていないことから、日本もこれを見習い、昨年11月にガイドラインを作成、自由な価格設定を容認することにした。

 軽減税率制度に関しても同様で店内飲食と持ち帰りで、事業者が税務署に申告する際の税率は10%と8%で区分する必要があるが、「企業努力で販売価格を同額にすることは問題ない」(財務省)という。しかし、体力のない企業が増税分を負担して販売価格を維持するような取り組みが広がるようだと下請けにしわ寄せが及ぶ可能性も高まりそうだ。

 対策として中小企業庁は、下請け企業が増税分の価格転嫁を求めた際に、拒否するような事例がないか監視する「転嫁対策調査官(転嫁Gメン)」を今年度から65人増やして474人体制で増税対応に目を光らせていく方針だ。

 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「価格設定に自由度を与えたのは妥当な判断だが、軽減税率などただでさえ複雑な制度が導入される中、消費者にとっては混乱の一因になってくるだろう」と話している。(蕎麦谷里志)

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