「生理用品」「おむつ」も軽減税率? 現場対応できなければパンクも

【経済インサイド】

 消費税率が8%から10%へ引き上げられる10月1日が迫っている。併せて導入されるのが、主に低所得者の家計負担を和らげるため、飲食料品などの生活必需品の税率を8%に据え置く「軽減税率」だ。しかし、どこまで軽減税率の適用範囲に含まれるのかなど仕組みが複雑で、もともと対象外の「生理用品」「おむつ」が対象にならないのかといった問い合わせが、財務省などに寄せられている。このままでは、増税後に消費者の問い合わせやクレームがスーパーなどにも殺到し、販売現場が混乱することになりかねない。

 「生理用品が軽減税率外れるってマジ?もしかしてオムツも?」「誰決めてんだか名前出せや!お前らの周りに女も赤ん坊も介護必要な老人もいないのか!!」。7月初め、あるツイッターのユーザーによる投稿だ。

 「生理用品に10%とか、女性に喧嘩売ってるとしか思えない」。8月に入っても、こうした投稿が絶えない。

 インターネット上では「生理用品」「おむつ」のほか、「トイレットペーパー」などが軽減税率の対象にならないことをめぐる“論争”が、盛り上がりを見せている。冒頭に紹介した生理用品などに関する問い合わせが相次いでいる背景には、こうしたネット上の盛り上がりもあるとみられる。

 ただ、軽減税率の対象となるのは、酒類を除く飲食料品と、週2回以上発行され、定期購読されている新聞というのが、そもそものルールだ。一部で誤解されているように、全ての生活必需品を対象とするわけではない。「生理用品」「おむつ」「トイレットぺーパー」は、飲食料品ではないので、もともと軽減税率の対象とならないし、現時点で対象となる予定もない。

 増税後も財務省や国税庁には、「これらを軽減税率の対象に入れるべきだ」という要望、問い合わせは尽きないとみられる。

■迫られる従業員教育

 問題は、消費者がスーパーなどの店頭で従業員に問い合わせたり、クレームをつけたりするケースだ。店側は客へ詳しく正確に制度を説明できるよう、パートやアルバイトを含めた従業員をしっかり教育し、店頭にマニュアルなどを備え付ける必要がある。店員が知識を身につけずあやふやな態度に終始すれば、販売現場に客の怒号が飛び交い、店の業務が著しく停滞にすることになりかねない。

 また、小売店では、中国人、ベトナム人、韓国人といった、外国人の従業員が増えていることも重視する必要がある。

 たとえば、女子高生に人気の東京都内のあるタピオカドリンク専門店は、従業員が中国人だ。タピオカドリンク専門店の場合、ドリンクを持ち帰るか店内で飲むかで税率が違ってくる。持ち帰れば軽減税率の対象になり8%だが、店内で飲めば外食扱いで10%となるのだ。こうした税率の違いを客から聞かれたとき、母国語が日本語でない従業員でも正確に説明できるように、店側は教育が求められる。

■8%か10%か

 軽減税率に関しては、他にも複雑なものが多い。たとえば、「桐箱入りメロン」のような、高価な容器に入った食品だ。

 この場合、かりに桐箱に会社名が印字され、他の目的で使用できなければ、軽減税率の対象となる。桐箱に会社名などが印字されず他に使える場合も、全体の税抜き価格が1万円以下で、メロンの価格がその3分の2以上なら、軽減税率の対象で8%だ。ただ、全体の税抜き価格が1万円を上回ったり、1万円以下でもメロンの価格が3分の2未満なら10%となる。ややこしいことこの上ない。

 こうしたさまざまなケースを、国税庁のフリーダイヤルに問い合わせると、担当者も調べて回答するのに時間がかかり、場合によっては「管轄の税務署にお尋ねください」と“丸投げ”されることもある。

 軽減税率が日本で導入されるのは初めてだが、欧州やアジアの各国ではすでに採用されており、世界的にみれば決して珍しくない。

 財務省の資料によると、1月現在、欧州ではたとえばアイルランドの場合、付加価値税(消費税)の税率が原則23%、食品が0%。英国では、付加価値税率が原則20%、食品が0%、ドイツは付加価値税率が19%、食品が7%-などとなっている。アジアでは、中国の付加価値税率が16%、食品が10%、ベトナムの付加価値税が10%、食品が5%だ。日本も外国と同じく軽減税率が定着するのか注目される。(経済本部 山口暢彦)

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