円高デフレ再発…消費税増税即刻中止を! もはや抑制外部要因なし

お金は知っている

 米中貿易戦争の激化で国際金融市場が揺れている。メディアは「米中対立 市場揺らす 元下落、11年ぶり7元台 円急伸105円台、株366円安」(日経新聞6日付朝刊1面トップ)というふうに市場異変の表面だけみて大騒ぎするが、円高が進行していることについて、メディアに登場するアナリストたちの大半はお定まりの見方しかしない。

 「円はいざというときの安全資産として買われる」「米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が利下げするのに、日銀は打つ手が限られる」と外部の要因ばかりを挙げる。

 これでは、なぜ円が「安全資産」になるのか、日銀はマイナス金利まで踏み込んでいるのに円安にならないのか、わけがわからない。主要通貨のうち円高が最も急速に進行しているのかも説明できないではないか。

 拙論の答えは簡単だ。急激な円高の根本的な原因は、日本のデフレとデフレ圧力を呼び込む消費税増税にある。米中貿易戦争や米欧の利下げはきっかけに過ぎない。

 グラフは2008年9月のリーマン・ショック後の円の対ドル相場と国内総生産(GDP)全体のインフレ指数であるデフレーターの前年同期比増減率の推移である。デフレーターの伸び率がマイナスであればデフレであり、押し下げられるときはデフレ圧力が高まっている。

 一目瞭然、円相場はデフレーターの変動に同調する度合いが極めて高い。統計学で言う相関係数(1が最大値で完全相関、0・7以上が高い相関度を示す)を算出すると、0・74と高い相関度を示す。しかも、円相場はデフレーターの変動を後追いする傾向が強い。

 12年12月に始まったアベノミクスの第一の矢、異次元金融緩和を受けて円高是正が始まったが、デフレーターのマイナス幅の減少が先行し、デフレ圧力の緩和とともに円安に振れるようになった。ところが、安倍晋三政権は14年4月に消費税率を5%から一挙に8%に引き上げた。消費税増税は強制的に物価を押し上げるのでデフレーターはプラスに転じたが、家計消費など内需は減退するのでデフレ圧力が加わり、16年9月には前年比マイナスに落ち込んだ。以来現在まで、デフレ圧力は緩和しないままの状態が続いている。

 円相場は16年9月に1ドル=101円台まで上昇した後、110~113円台まで戻した。米FRBは16年12月から利上げ路線に転じ、同年の大統領選で当選したトランプ旋風によって世界の資金がドルに集まったのだ。デフレ圧力による円高効果は相殺されたのだが、FRBは再び利下げに転じ、トランプブームも一段落した。もはやデフレ=円高を抑える外部要因はない。

 おまけに安倍政権は10月から消費税率を10%に引き上げ、デフレ圧力を助長する。これではデフレ、円高、デフレ不況の悪循環を再来させる。消費税増税は即刻、中止宣言すべきなのだ。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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