市場の混乱長期化で追加対策現実味も 消費増税控え

 米中貿易摩擦で、金融市場の混乱が長期化し日本経済へ悪影響が及ぶリスクが強まれば、政府による追加経済対策が現実味を増しそうだ。10月には消費税率10%への引き上げも予定。政府内からは「景気を腰折れさせるわけにはいかない」との声が上がっており、9月中旬にも行われる内閣改造後に本格的な検討を始め、年内の取りまとめを目指す公算が大きい。

 「リスクが顕在化する場合には、躊躇(ちゅうちょ)することなく機動的かつ万全な対策を講じる」。安倍晋三首相は6日、広島市内で記者会見し、こう強調した。政府内では、まだ経済対策の正式な検討は始まっていないが「景気の腰折れは困る。経済対策はやるだろう」との見方が強まっている。

 具体的には、改造後の内閣で経済対策をまとめ、令和元年度補正予算案を来年1月開幕の通常国会に提出する日程が想定される。中小企業の経営支援策などが盛り込まれるとみられる。

 ただ、何を経済対策の表向きの根拠とするかには政府も頭を悩ませそうだ。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は、単純な金融市場の変動では根拠になりにくいと指摘。「対策づくりを決めた時点で円高だったのに、策定時点で円安に戻れば、対策は必要はなかったことになる」とする。1ドル=100円を突破する急激な円高が進み、長引いて輸出産業が打撃を受けるリスクが強まらなければ根拠になりにくそうだ。

 また、10月には消費税増税が予定されるが、「年内に対策をまとめるなら増税の影響を見極める時間がない」(経済官庁関係者)。

 増税の総合的な経済への影響が真っ先に出る10~12月期国内総生産(GDP)速報値の発表は来年2月。企業の景況感などを調べる日本銀行の企業短期経済観測調査(短観)の増税後の初調査が公表されるのが今年12月で、10月の鉱工業生産指数速報などの統計も公表は11月下旬と遅いからだ。

 これらの統計結果を経済対策の直接の根拠とするのはタイミングとして難しい。結局、「海外経済を分析した上で『放置すると日本経済にリスクが及ぶ』とするのではないか」(小林氏)。

 実際、日本の対中輸出額も前年を下回るなどの影響が出ている。政府は秋以降の月例経済報告で海外経済の先行き悪化に懸念を示すなどした上で、経済対策をまとめる可能性がありそうだ。(山口暢彦)

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