「ハリー・ポッター」国内配信スタート 位置情報ゲームでもファン拡大へ

 米ナイアンティックとワーナーブラザースなどが開発したスマートフォン向けアプリ「ハリー・ポッター:魔法同盟」の配信が2日、日本でスタートした。Google PlayストアやApp Storeから無料でダウンロードできる。ワーナーはゲームを通して、原作者のJ・K・ローリング氏が描く「魔法ワールド」のファンを増やしたい考えだ。

 同アプリは2016年にヒットした「ポケモンGO」(ナイアンティック、任天堂、株式会社ポケモン)と同様に位置情報と拡張現実(AR)技術を活用している。スマホを持って歩くと、現実世界の地図をベースにしたゲーム内マップでアバター(=プレイヤーの分身)も移動する。

 実際の駅やモニュメントはゲーム内で「宿屋」「温室」などに設定されており、エネルギーやアイテムを補給できる。そして、マップにランダムで出現する「痕跡」のアイコンをタップして、AR技術で現実の風景と重なって表示される「魔法生物」を魔法の世界に送り返したり、トラブルに巻き込まれたキャラクターを助けたりする。

 ポケモンGOの、「ポケストップ」でボールを補給しポケモンをゲットする流れと似ていると言えるだろう。有料のゲーム内通貨はアイテムの所持数を増やすなどの用途で使われ、ソーシャルゲームのように課金することで著しく有利になることがない点も共通している。

 しかし、IP(知的財産)をポケモンからハリポタに置き換えただけではなく、ストーリーに引き込む様々な仕掛けが散りばめられている。ハリーなどのキャラクターを登場させ、映画版の声優を起用したのもその一つだ。

 ワーナーブラザースゲームズ・サンフランシスコのジョナサン・ナイト氏は6月26日、都内で開かれた説明会で、原作の舞台であるロンドンのキングスクロス駅にファンが集まり観光名所化しているエピーソードを挙げ「魔法の世界と現実との境界が薄い。ファンは魔法界を身近に感じ、自分は魔法の力を宿していると感じられる」と世界観の魅力を語った。現実とリンクしたリアルワールドゲームとの親和性の高さは開発する側も認識しており、ナイアンティックのジョン・ヴィフィアン氏は「ポケモンGOがリリースされる前から2社間で話し合いを進めていた」と明かしている。

自撮りでファン拡大

 書籍の第1作目「ハリー・ポッターと賢者の石」(静山社)が日本で出版されてから20年。小中学生だった読者が親世代になり、小さい頃に胸踊らせたハリーの物語を子供に読ませている家庭もあるだろう。ポケモンGOがそうであるように、このアプリを外出先で楽しむ親子も出てくるかもしれない。

 ワーナーが狙うのは世代を超えたファン拡大だ。ワーナーブラザースジャパン合同会社の担当者は「映画や小説だけでなく、USJのアトラクションや舞台やゲームを通して魔法の世界に触れてほしい」と話す。

 映画版の最終作から8年が経つが、コンテンツとの接点は定期的に作られている。スピンオフの映画「ファンタスティック・ビースト」5部作の2作目が昨年公開され、2016年には父親となったハリーが登場する舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」がロンドンで公開され話題を呼んだ。

 ゲーム分野でもワーナー傘下でハリポタシリーズ専門のポートキーゲームズがスマホ向けアプリを展開しており、満を持して「魔法同盟」がリリースされた格好になる。多くの人が日常的に使うスマホ向けに、注目のリアルワールドゲームを配信することでファンの裾野を広げると期待されているわけだ。

 「Snapchat」「Snow」のように、“自撮り”で魔法使いになった自分の合成写真を作り、SNSで共有する機能もある。ゲームやハリポタ作品のへの関心が強くなくてもSNSを活用する若い世代なら使ってみたくなる仕掛けだろう。 ワーナーとナイアンティックは、今後ストーリーや機能を追加して「魔法同盟」を長く続くゲームにしたいと意気込む。書籍から映画、舞台へと広がっている世界が、今度はゲームでも拡大していく。

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