「夕食は電子レンジに聞け」シャープが新サービス

【ビジネスの裏側】

 鴻海(ホンハイ)精密工業傘下のシャープが、インターネットとつながる最新家電の拡大に本腰を入れる。スマートフォンアプリで家電を一括管理できるサービスを5月にスタート。今年秋以降、クラウドサーバーを含むシステムのプラットフォームを外部に開放する。自社製品だけでなく、ライバルメーカー製品との接続も可能し、さまざまな異業種からの情報を家電にリンクさせるという。シャープが目指す家電はどんな姿なのか。

■プラットフォームの開放

 新サービスの名称は「COCORO HOME(ココロホーム)」。家電や住宅設備のIoT(モノのインターネット)技術を利用し、人々に快適な暮らしを提供する「スマートホーム事業」の一環だ。

 人工知能(AI)が顧客の生活パターンや家電の利用状況を学習し、便利な使い方を提案する。

 例えば、外出の際に必ずテレビとエアコンの電源を切る習慣がある住人は、スマホの画面上で「一括操作」ボタンを押すだけで、両方の電源を同時にオフにすることができるようになる。

 5月に米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマホ向けのアプリの提供を開始。夏ごろには米アップルの「iOS」なども対象となる予定だ。

 シャープの新サービスは他社にもプラットフォームを開放する点に特徴がある。他社の家電なども自社製品と同様にアプリで管理できるほか、互いに連携した情報提供が可能になる。

 シャープの担当者は「顧客の大半は他社製の家電も使っている。他社を巻き込む形にしないと、IoT家電の市場拡大は期待できない」と話す。

■電子レンジ、冷蔵庫が情報交換

 秋以降に他社と連携が進むと、これまでにないユニークな家電との暮らしが始まる。仮に、シャープとスーパーが協力すれば、こんなサービスが生まれる。

 住人が「晩ごはんのメニューは何にしようか」と電子レンジに話しかけると、オーブン機能などで調理経験を蓄積した電子レンジは、食事の好みなどを推察して「ビーフステーキはどうですか」などと音声で回答する。続いて、今度は冷蔵庫が、牛肉の安売り情報を音声で伝えてくる。

 こうしたやりとりができるのは、スーパーから商品情報がクラウドに送られてくるためだ。AIを通じて、電子レンジと冷蔵庫は、住人の生活スタイルについて、いわば情報交換をしている。

■提携先は50社目指す

 シャープは、将来的にプラットフォームを使う会社から、利用料を得て収益源とするビジネス展開を狙っている。来年度には提携先を50社程度に広げることを目標に掲げている。

 すでに警備会社のセコム、関西電力、KDDIとの提携で合意しており、サービス内容の協議を始めている。

 スマートホーム事業をめぐっては現在、電機、住宅業界を巻き込んだ覇権争いが過熱している。

 パナソニックは「ホームX」と名付けて、AIが住人の好みや生活パターンを分析して家電や照明などをコントロールするサービスを開発中。積水ハウスも、室内に設置したセンサーで心拍数などのデータを計測し、自宅で急に倒れた際に119番通報するサービスなどを売り出す方針だ。

 シャープは、スマートホーム事業で業界の先頭を走ることができるのか。それこそ、鴻海とシャープに、つながりたい企業がどれだけ出てくるかにかかっている。

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