投げ売り湯沢“リゾマン”民泊で再生を すでに活用の物件も

マンション業界の秘密

 先日、ある情報番組にコメンテーターとして出演した。テーマはマンションの老朽化や空き家増加に関するものだった。最近、こういうテーマでのコメント取材や原稿依頼が多い。いよいよその深刻さに世間も気づき始めたのだろう。

 ああいった番組は、裏方であるディレクターさんたちの綿密な調査を背景に成り立っている。だから時々私が知らないような情報を教えてもらえたりする。

 その番組でも、新潟県の湯沢で積極的に民泊を行っているリゾートマンション(リゾマン)の実情を教えてもらった。湯沢のリゾマン群の将来については、さまざまなメディアや拙著で取り上げてきたので常に関心を持っている。民泊を行っているマンションが1棟あることは知っていたが、それがどのような実態なのかまでは知らなかった。

 番組の中で流されたビデオ映像を見て、やや驚いた。そのリゾマンでは組織的に民泊が行われている。運営しているのは、湯沢エリアでは最強と目される不動産会社の関連企業。2人から4人程度で泊まれる部屋が1泊2万円から3万円台で募集され、稼働率もそれなりにあるという。利用者には外国人もかなりいるということだった。

 民泊は年間180日以内、という規制がかけられている。これは自治体によってさらに制限できる。幸い、湯沢ではそういう制限が設けられていない。

 そのマンション、民泊を始める前は1住戸が10万円という捨て値で売り出されていたという。現在はそれが150万円以上に値上がりしたそうだ。

 それは十分に納得できる。なぜなら1泊2万円で100日稼働すれば200万円の売り上げになる。150万円で購入しても1年で元が取れる、という計算が成り立つ。

 実のところ、湯沢エリアはリゾマンの墓場だ。私はかねがねタダ同然まで値段が下がった物件を民泊やシェアハウスで活用すれば、湯沢は「第2のニセコ」になれる、と発言してきた。

 そうなればマンションの資産価値が回復するばかりか、湯沢エリア自体も活性化できる。まだ1棟とはいえ、部分的に実現しているのだ。ここは思い切って民泊活用へとかじを切るべきである。

 湯沢エリアの管理組合は、それなりにしっかりと運営されているところが多い。3年ほど前に違法民泊が問題になった時に、管理規約を改正して民泊禁止にした組合が多い。それは間違いだったと思う。湯沢のリゾマンこそ、民泊制度を活用すべきなのだ。それ以外で今の苦境を脱する方策は見いだせない。成功すれば、やがて来る廃虚化の危機も遠ざけることができる。

 民泊によって不特定多数の人がマンションに出入りすると、資産価値が落ちるという発想は定住の居住者が多数を占める都心のマンションの場合だ。1年で1度も使用されない住戸が半数以上と言われる湯沢には当てはまらない。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ