トランプ氏、瀬戸際の交渉戦術「貿易戦争」突入も

 中国との貿易協議で、最終合意に達するとの期待感をたびたび示してきたトランプ米大統領が、唐突に対中追加関税の強化を表明した。トランプ氏は過去の貿易協議でも、最終段階で脅しをかけて相手に譲歩を迫る交渉手法をみせた。だが今回、中国の出方次第では米中が関税発動を応酬させる「貿易戦争」に陥る恐れもあり、トランプ氏の瀬戸際戦術が吉と出るか凶と出るかは見通せない。(ワシントン 塩原永久)

 トランプ氏は今春に入り「中国とはうまくいっている」と繰り返し言及。今月初めにも「歴史的な合意が間近だ」と述べていた。それだけに、トランプ氏が5日、中国からの2千億ドル分の輸入品に課す追加関税を10日から引き上げると表明した衝撃は大きく、週明け6日の米株式相場は一時大きく値を下げた。

 トランプ氏が強硬姿勢に転じたことについて、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は6日、中国が知的財産権保護などに関する改革姿勢を「後退させた」ことが引き金になったとの見方を示した。

 ただ、トランプ氏は昨年秋にかけて大詰めを迎えた北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でも、「NAFTAを脱退する」と威嚇してカナダとメキシコの歩み寄りを求めた。相手に打撃を与えるカードを振りかざすのは、不法移民対策などの内政問題でも同氏が駆使してきた常套(じょうとう)手段だ。

 米中は昨年12月、協議中は関税強化を凍結する「一時休戦」で合意した。両国はなお協議継続の方針を保っており、訪米した中国交渉団が知財保護などで譲歩案を示し、10日の関税引き上げを前に土壇場で妥結する可能性も残されている。一方、合意に失敗すれば、双方が互いに関税発動を拡大し、貿易摩擦を激化させた昨年12月以前の状態に後戻りする懸念が拭えない。

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