あのガシャポン、実は9年遅れで日本上陸だった 池袋が日本1号

 少額の玩具にもキャッシュレスの時代だ。玩具大手でカプセルトイ「ガシャポン」を展開するバンダイは4月、JR池袋駅(東京都豊島区)で交通系ICカードに対応したカプセルトイ自販機「スマートガシャポン」を本格稼働させた。インバウンド消費でも注目されるガシャポンだが、実はアジア地域から約9年遅れての導入だったという。

■現金非対応のカプセルトイ

 JR池袋駅の南口改札を出て、左手に見えるキオスクのそば。ドリンクの自販機に並んで、交通系ICカード専用のスマートガシャポンがある。改札を出入りする人に関心を持たせるには絶好のロケーションだ。

 「機動戦士ガンダム」や「ラブライブ!サンシャイン!!」のミニフィギュアなど、5種類のガシャポン自販機と購入用のタッチパネル付き端末が1セットになっており、南口改札近くに2セット設置されている。価格は200円~500円。硬貨の投入口はなく、購入者はタッチパネルで買いたいガシャポンを選び、タッチパネルの下にある読み取り部分にSuicaやPASMOなどの交通系ICカードを近づけて決済する。その後、60秒以内に選んだガシャポン自販機のハンドルを回すとカプセルトイが出てくる。スマートフォンの交通系ICカードアプリにも対応しており、ドリンクの自販機でICカードを使うのとほとんど同じように使えた。

 スマートガシャポンが池袋で本格稼働するきっかけになったのが、JR東日本が今年1、2月に人気漫画「キン肉マン」とコラボして東京都などの駅で展開した「キン肉マンスタンプラリー」企画だった。

 「スタンプラリーに合わせて上野駅、新宿駅、池袋駅、品川駅、東京駅にスマートガシャポンを設置して『キン消し(キン肉マンのキャラクターを象った小さな人形)』を試験的に販売しました。その結果を見て、好評だった池袋を本格稼働の場所に決めたのです」(バンダイ広報)

 なお、同企画では駅ごとに違ったキャラクターのスタンプ台が置かれており、池袋のキャラクターは悪魔超人サンシャイン。ロビンマスク(上野駅)やキン肉マングレート(東京駅)などの人気キャラを押しのけて、シブい悪役が“栄冠”をつかんでいた。

■実は日本が遅れている?

 日本玩具協会によると、2017年度のカプセルトイの国内市場規模は前年度比115.2%で319億円。少子高齢化を意識して、ターゲットの年齢層と単価を高めに設定する戦略が奏功して、2014年度から300億円規模で推移している。

 バンダイは、全国に自社ブランドのガシャポン自販機を36万台設置し、同市場で約6割のシェアを握るトップ企業だ。「ついに」キャッシュレス化して業界の起爆剤に…と言いたくなるところだが、海外から見れば「ようやく」と言った方が正しい。

 「アジア地域ではすでにスマートガシャポンを展開しており、2010年には香港のオクトパスカード、2014年には台湾のヨーヨーカーという交通系ICカードに対応しています」(バンダイ広報)。スマートガシャポンには電源が必要だ。条件に合う設置店舗を日本で見つけるのが難しかったのが、出遅れた原因だった。

 だが日本でも、池袋での本格稼働を皮切りとして、5月末までに50セットを設置する予定だ。決済後にくじ引きなどの独自要素を持たせることで普及拡大を目指す。また従来のガシャポンも並行して設置し、「カードの個人情報は取得しない」(バンダイ広報)方針だ。

■キャッシュレス化は一石三鳥

 交通系ICカード対応には、売る側、買う側の双方にメリットがある。まずスマートガシャポンの本体が、スマートフォンなどでも使われる高速無線通信のLTEで販売データを発信するので、バンダイ側が在庫管理に活用できる。目視に頼らないため、、予想もしなかったヒット商品が生まれたときでも迅速に品切れに対応できるというわけだ。

しかも、どの場所にどんなガシャポンがあり、在庫がどの程度あるかという情報を公式サイトで消費者向けに提供できるようになった。キャッシュレスの利点を生かして柔軟に価格を変更するという使い方も予定しているという。

 手軽に“高価格帯”のガシャポンを回してもらいたいという狙いもありそうだ。従来の500円ガシャポンだと100円玉が5枚必要。ゲームセンターなどのアミューズメント施設であれば両替機が併設されているかもしれない。だが、駅などで自販機を見かけて「ちょっと回してみようか」と興味を持った人の財布に100円玉が5枚そろっているケースは少ないだろう。そもそも、そういう小銭の残し方になること自体が、あまりないと思われる。キャッシュレス化が手持ちの硬貨の枚数に関する問題を解消し、これまでターゲットではなかった層が500円ガチャポンの見込み顧客になることも考えられる。

 今後、バンダイはQRコードなどの二次元バーコードでも決済できるようにする。スマートガシャポン本体には、もうバーコードの読み取り口が用意されているので、二次元バーコード対応は間近かもしれない。機会損失のリスクを減らして顧客単価とユーザビリティーの向上を図る“一石三鳥”のキャッシュレス化。可能性はまだまだ広がりそうだ。

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