串カツ田中、“時短”の実験店で売り上げアップ その理由は?

 営業時間が長ければ長いほど売り上げもアップする--飲食業界や小売業界ではこのような考え方が一般的だった。しかし、深刻な人材不足などを受けて、各企業は営業時間を短縮しても売り上げが減らないようなビジネスモデルの再構築を迫られている。

 串カツを主力とする居酒屋チェーンとして急成長した串カツ田中は、2018年8月から76店舗で実験的に営業時間を変更している。ポイントは「土・日の開店時間を早める」と「平日の閉店時間を前倒しする」の2点だ。土日の営業時間は増加する一方で、平日の営業時間が減少する。1週間全体では営業時間が3時間減少することになる。

 営業時間を短縮した店舗では、18年8~11月における1店舗当たりの平均売り上げが前年比増となったという。つまり、営業時間は減ったのだが、売り上げは減るどころかアップしたのだ。なぜ、このような結果になったのか。

さまざまな実験をしている串カツ田中

さまざまな実験をしている串カツ田中

 きっかけは全面禁煙化

 串カツ田中は18年6月、立ち飲み形式の3店舗を除く全国181店舗(当時)の全面禁煙化に踏み切った。従業員の受動喫煙を防止するとともに、新規顧客を獲得する狙いがあった。

 禁煙化を受けて、さまざまな影響が出た。客層でいうと、家族連れが増える一方で、会社員が減った。夜遅くまで飲み続ける傾向がある喫煙者が少なくなったため、深夜帯の売り上げが減少した。ファミリー層などが多くなったため、早い時間帯(土・日の午後2~3時や平日の午後7~8時)の売り上げが増えた。

 こうした変化も受けて、串カツ田中は76店舗の営業時間を実験的に変更した。狙いは「昼飲みやランチ需要を取り込む」「日中のママ会といった潜在顧客を掘り起こす」「深夜の労働時間を減らして従業員の負担を軽減する」「店舗運営の効率化」だった。

 実験店では、従業員が昼間の営業に集中して取り組めるようになったという。全面禁煙化の認知度が高まったことや、子ども向けメニューを充実させたことにより、土・日の早い時間帯に多くのお客が来店するようになった。

 このような施策をした結果、平日の売り上げは減少したが、土・日の売り上げが増加し、結果として全体の売り上げが増加することになった。串カツ田中の広報担当者は「労働時間が減ったことで、生産性向上につながったと考えます」とコメントした。

 ゴールデンウイークも営業時間を短縮

 串カツ田中は今回の実験を検証しているところなので、今後、どのような施策を展開するか決めていない。しかし、今回の例は、ビジネスモデルと営業時間の関係性について示唆に富む内容ではないだろうか。

 串カツ田中は全体の約4割の店舗で、ゴールデンウイーク中の営業時間を短縮する。通常の祝日の営業時間は13時間だが、深夜帯の営業時間を1.5~2時間短縮するという。実験店同様、短い営業時間でより多くの売り上げ増を達成できるだろうか。

全面禁煙化を告知するポスター

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