現場知らぬ社員が管理職になる時代 人を育てない「フリーランス化社会」の行きつく果て

 また、企業の発展と一国の経済発展とが、必ずしもイコールになっていないという問題もありますね。OECD(経済協力開発機構)も気付き始めていますが、国際的なコンセンサスを作らなくちゃいけない段階にきています。

 今政府が進めている「働き方改革」は、「残業し過ぎのお父さんが早く帰れるようになって家族と一緒に過ごせる」というワークライフバランスの文脈でも語られています。それ自体は否定はできませんし、私は大変素晴らしい話だと思います。一方で、グローバル競争の中で日本がどこで稼いでくるのか、その競争力の源は何なのかという「根本」を検討し、ビジョンを描くことも同時に求められていると思われます。

 現場を知らない人に監督が務まるのか

 以上が山崎さんへのインタビュー内容だ。

 絞り込まれる大企業社員とアウトソース先との断絶が、問題点として指摘されていた。何としても大企業の「中の人」にならねば、という受け止めもありだろう。だが、その数は限られ、多くは「外の人」になるのだ。どこか身分にも似た「格差」を生み出す点と併せ、このモデルにはもう一つ問題があることを指摘したい。 

 それは「現場叩き上げ」と違って「最初から監督」の場合、現場を知らずに監督が務まるのか、という点だ。日本的ものづくりの強みは、自社内に現場を抱えることで、OJTを通じて人を育て、現場の情報を研究開発につなげてきた点にもある。怒涛(どとう)のようなアウトソースに死角はないのか。熱い語りを聞きながら、そんなことも考えさせられた。

 著者プロフィール

 北健一(きた けんいち)

 ジャーナリスト。1965年広島県生まれ。経済、労働、社会問題などを取材し、JAL「骨折フライト」、郵便局の「お立ち台」など、企業と働き手との接点で起きる事件を週刊誌、専門紙などでレポート。著書に『電通事件 なぜ死ぬまで働かなければならないか』(旬報社)、『その印鑑、押してはいけない!』(朝日新聞社)、共著に『コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実』(旬報社)、『委託・請負で働く人のトラブル対処法』(東洋経済新報社)ほか。ルポ「海の学校」で第13回週刊金曜日ルポ大賞優秀賞を受賞。

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