現場知らぬ社員が管理職になる時代 人を育てない「フリーランス化社会」の行きつく果て

 しかし、そのパターンとは違うアプローチが始まっています。単純な仕事はAI(人工知能)にやらせるか、もしくはアウトソースをしてしまうというアプローチです。「難しい仕事は社内の人間にやらせ、そうでない仕事はAIにさせるかアウトソースする」となると、会社の外にいる人は難しい仕事を教わる機会がなくなってしまいます。そうすると、会社の中と外とが連結しなくなるという問題が発生しますね。

 ライターは編集長に一生なれない

 --現場作業は全て外注業者にさせて、建設会社の社員は現場監督からスタートするというような形になってしまいますね。

 そういうイメージですね。もっとも、例えば建設労働をAIなりロボットに、一気に代替することはできません。日本の建設業は人手が不足していますから、職人を社員にして囲い込む動きも出ています。東京オリンピック後にこの動きがどうなるのかは分かりませんが、全体としてみれば、「社員は現場監督からスタート」という流れが広がるでしょうね。

 「簡単な仕事」がいったん切り離されると、切り離され放しになってしまいます。メディア企業で例えると、編集長とその予備軍だけが社員で、あとはフリーランスに外注するという形になるわけです。そうなると、会社の外の人は、ライターとしてどんなに頑張っても編集長にはなれないですよね。そういう時代が実際に訪れています。

 一方で異なる問題も発生しました。政府がある大企業をバックアップしても、企業の方は多国籍化しているから「自国」のことは考えず税金も少ししか払わない、という問題です。これはどの国でも悩ましい課題になっていますよね。

 --どうしたらいいのでしょうか。

 まずは、この構造を皆が理解しなければならないのだと思います。社会の諸課題を解決するために経済発展しようとするのですが、経済が発展していけば同時に貧富の格差も拡大するのです。ならば、経済発展の果実をどうやって公平に分配していくのかという合意と仕組みを作らないといけません。最低賃金引き上げを通じた「底上げ」も、その仕組みの1つでしょう。

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