現場知らぬ社員が管理職になる時代 人を育てない「フリーランス化社会」の行きつく果て

 サンフランシスコにUpwork(アップワーク)という人材会社があります。日本で同様のサービスを提供しているクラウドワークスよりはるかに大きく、いろんな国々の会社にいろんな国々の人たちをネット上で紹介しています。このアップワーク社がフリーランサーズ・ユニオンと提携して、アップワーク社で契約するフリーランスとして働く人たちに健康保険や年金、相談窓口のあっせんもしているのです。

 フリーランスが困るのは、発注者が口約束しかしないで、「言った・言わない」の争いになったり、約束の報酬額が払われなかったりすることです。そこでフリーランサーズ・ユニオンは、ニューヨーク州とニューヨーク市でロビイングし、彼らの権利を守る条例を作りました。情報の共有に加えて、職業訓練の機会も提供しているのです。

 さらにフリーランサーズ・ユニオンとは別に、日雇い労働者、家政婦、介護労働者、タクシーの運転手たちは、それぞれの組織にまとまっています。こうした働き方をしている人が多い移民の組織もあるのです。このように、雇用されないで働く人たちの組織が何らかの形で作られ、その組織に所属することによって、ある程度は守られているわけです。

 --日本と比べると非常にスケールが大きいですね。日本ではこの先、どんなことが問題になるのでしょうか?

 確かに日本よりも規模は大きいと思いますね。私はフリーランサーズ・ユニオンのオフィスを見てきたのですが、大きなビルの2フロアを借りていて、まるでIT企業のようにおしゃれでした(笑)。

 一方で、日本でも、社外の人間に仕事を外注する「アウトソース化」の動きは加速しています。かつては単純な仕事であっても、自社の社員にさせていましたね。単純な仕事からより複雑な仕事へ、というように段階的に教えていくことで、社員を育てていたのです。これが企業内の職業訓練としても機能していました。そうすることで会社から離れられなくしていたわけです。

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