高くついた妊婦加算凍結 社会保障改革で医師会に大きな借りか

 ところが、周知不足で制度自体を知らない女性も少なくなく、9月ごろからインターネットを中心に「妊婦税だ」「少子化対策に逆行する」などと不満を訴える声が続出。運用面でも、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方といった妊娠と直接関係のない場合や、診察後の会計の際に妊娠していることが分かって加算されたケースなどに批判が集中した。

 問題が永田町にまで波及してきたのは予算編成が本格化した11月以降だ。同月29日の自民党厚労部会で、小泉進次郎部会長は「このまま放置するわけにはいかない」と厚労省に対応を要請。発信力の高い小泉氏の発言の影響もあり、マスコミで連日取り上げられ、一気に社会問題化した。

 ■高い代償

 医療界としては、妊婦の診察には一定のリスクがあり、産婦人科以外では診察を避ける医療機関が出ていることを踏まえ、妊婦加算の導入により妊婦診察のモチベーションづくりにつなげる狙いがあったが、そうした真の目的は十分に理解されないまま、事実上の廃止へと話は一気に進んだ。厚労省は運用の厳格化で乗り切ろうと調整に動いたものの沈静化せず、安倍晋三首相まで事態打開に乗り出すことに発展した。安倍首相は12月13日にタイ・バンコク出張中の横倉会長に電話を入れ、何とか凍結の了解を取ったのだった。

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