ファーウェイ問題で揺れる通信企業 日本の対応鈍さ露呈

 今回の事件により、日本のメディアや携帯各社がいまさらながら騒いでいるが、8月に国防権限法が成立した時点で勝負は決まっていた。日本の大手企業のほとんどが何らかの形で米国政府や米国政府機関と取引している。

 例えば、在日米軍だけでも日本企業が大量の物資を納入している。安全保障を理由に米国との取引を切られたとなれば、その企業は信用問題を抱え込むことになる。当然、日本政府もこの対象であり、日本政府は政府調達から2社を排除する方針を決めた。

 これを受けて、携帯大手3社と新規参入予定の楽天は5Gでの中国2社の不採用と既存設備からの排除を進める方針を打ち出した。なぜならば、基地局や通信システムに2社の設備が入っていれば、米国の排除対象とされてしまい、法人顧客などを一気に失う可能性が高いからである。

 今回の事件での最大の問題は、日本政府と日本企業の対応の鈍さといってよいのだろう。4月に発生したZTE問題で米国議会は中国2社に制裁をかける方向で議論を進めた。トランプ政権は中国の習近平氏との合意によりZTEへの制裁を解除し、国防権限法からの中国2社への規制排除に動いたが、議会の大反発で、これが盛り込まれた経緯があった。

 この決定までの過程をきちんと追いかけていれば、今回のドタバタ劇を演じる必要もなく、無駄な投資を防ぐことができるとともに、採用先を切り替える時間的余裕があったはずである。国家にとって安全保障は全てに優先し、最悪の想定を考えた上でのリスク管理こそが経営者の最大の責務である。今回の問題は日本社会の大きな問題を露見させたともいえる。(渡辺哲也氏)

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 わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は『突き破る日本経済』など多数。愛知県出身。

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