“世界の買収王”も有利子負債18兆円…「ソフトバンク」携帯上場も、通信事業での高利益は不透明

 通信子会社のソフトバンクの上場が承認されたソフトバンクグループ(SBG)。親会社は投資会社の色合いを強め、孫正義会長兼社長(61)は名実ともに「世界の買収王」となる。だが、有利子負債は18兆円にふくらみ、格付けは投機的水準というのがもう一つの顔だ。

 上場予定日は12月19日。株式時価総額は7兆1807億円と想定しており、初値ベースで7兆3395億円だった日本郵政に次ぐ規模となる。

 SBGはソフトバンク株の3分の1超を売却し、市場から最大約2兆6000億円を調達する見通し。株投資ブームを生んだ1987年のNTT上場時に政府が調達した額を上回り、過去最大となる。

 上場後もSBGが63・14%の出資比率を保ち、連結子会社を維持する。「親子上場」はNTTとNTTドコモなどの例もあるが、子会社の独立性が懸念されるため解消の方向が主流だ。また、ソフトバンク株を手に入れようと個人投資家が手持ちの株を換金売りするため、その他の銘柄が下落するとの見方もある。こうした市場の懸念は百も承知のはずだが、なぜ上場に踏み切るのか。

 孫氏は創業以来、企業買収を武器にパソコンソフト卸、通信など主力事業を入れ替えてきた。サウジ政府と組んだ10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の投資先株式の評価益が営業利益の2割超を占める。

 巨額借金をてこに投資を重ねた結果、9月末時点で有利子負債は18兆円。年間利払いは約5100億円にのぼる。

 最近も、買収資金獲得のため虎の子のアリババ株を担保に差し出すほか、傘下で半導体設計を手掛ける英アーム・ホールディングスの一部株式をSVFに現物出資するなど、なりふり構わぬ資金調達が目立つ。

 携帯子会社の上場で得た資金も投資につぎ込まれるとみられるが、菅義偉官房長官が通信料金の引き下げを要請し、これまで通りの利益を上げられるかは不透明だ。

 SVFも、記者殺害への関与が指摘されるサウジ皇太子の肝いりという色が付いており、欧米の企業や投資家が敬遠するリスクを抱える。

 これまで大バクチに勝ってきた孫氏だが、「高転び」しかねない危うい状況は続いている。

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