【主張】生命の安全教育 発達段階に応じた指導を

 深刻化する子供の性暴力被害を防ごうと、幼児期からの「生命(いのち)の安全教育」事業が今年度から始まった。政府は新たな教材を作成し、性犯罪防止のための教育を段階的に拡充する方針だ。

 SNSの普及などにより性暴力被害の低年齢化が進む中、子供を被害者にも加害者にもしない教育が必要なことは論をまたない。ただ、過去には、一部教員による行き過ぎた指導が問題になったこともある。

 教育現場では、子供の年齢や発達段階に応じた適切な指導に努めてほしい。

 政府は、令和2年度から4年度までの3年間を「性犯罪・性暴力対策の集中強化期間」と位置づけている。「生命の安全教育」もその一環で、内閣府と文部科学省が幼児期から大学生まで、6種類の教材を作成した。

 例えば幼児期や小学校低学年では、水着で隠れる部分を他人に見せたり、触られたりしないよう指導する。中学と高校ではSNSの危険性や、被害に遭った際にどう行動すべきかを考えさせている。いずれも、子供の発達段階を考慮した内容といえよう。

 子供の性暴力被害は、本人も気づかないまま被害が続くことがある。加害者が親や教員の場合は助けを求めにくく、長期化しやすいことも指摘されている。

 SNSを通じた被害も深刻だ。警察庁によると、SNS絡みの児童買春・児童ポルノ事件の被害件数は令和元年に過去最悪の1099件に上った。

 性暴力の根底にある誤った認識や行動を、子供たちに正しく教える必要があろう。

 政府は教材とともに、指導方法や留意点をまとめた教員向けの手引も作成した。被害の根絶に向け、学校の授業などで積極的に活用してほしい。

 懸念されるのは、学習指導要領を逸脱するような性教育が行われることだ。東京都内の公立中では平成30年、本来高校で教えるべき人工妊娠中絶や避妊の具体的な方法を指導していたことが分かり、都議会で問題になった。

 一部教員による行き過ぎた指導は学校教育への信頼を揺るがす。すぐにやめてもらいたい。

 性教育には、家庭の理解と協力が不可欠だ。発達段階を考慮し、学習指導要領に沿った指導を推進すべきだ。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ