【主張】LINEに指導 徹底して情報管理強めよ

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」利用者の個人情報が中国の関連企業で閲覧できた問題をめぐり、総務省が電気通信事業法に基づきLINEを行政指導した。

 システムの安全管理や利用者への説明が不十分だったためで、5月末までに対策を報告するよう求めている。また、政府の個人情報保護委員会も個人情報保護法に基づき、安全管理の改善を求める行政指導を行った。

 LINEは8600万人が利用し、公共サービスにも使われる社会インフラだ。その自覚に欠けていたのは明らかである。情報が海外に、とりわけ国家による情報管理が顕著な中国に流出するリスクへの感度があまりに低かった。

 同社は「適切な改善策を講じることで信頼回復に努める」とコメントした。情報流出の疑念を拭えるよう、信頼に足る是正策を確実に講じてもらいたい。

 これまで同社は中国側から日本のサーバーへのアクセス回数を32回としていたが、調査を広げたところ計132回に上った。ただし総務省は、同社の報告に基づく限り通信の秘密の侵害や情報漏洩(ろうえい)を確認できなかったとしている。

 中国への情報流出が懸念されるのは、中国政府が企業や個人に情報提供を強いることができる国家情報法があるからだ。問題は、これに備えるべき同社の情報管理体制が緩かったことにある。

 総務省によると、システムへのアクセス権限が適切に付与されたかどうかを確認する記録がなかったり、本人認証や不正検知の仕組みに厳格さが欠けたりする例があった。海外の法体系を踏まえたリスクの評価も不十分だった。利用者が悪質なメッセージを同社に通報した際の対応について、説明に不備があることも指摘された。いずれも膨大な個人情報を扱う企業がなすべきこととは程遠い。

 同社はすでに中国から日本へのアクセスを完全遮断した。韓国で保管していたデータも国内移転する。大切なのは、海外への情報漏洩が起こり得ると想定し、あらゆる手立てを講じることである。

 同社に限らずデジタル業務を海外委託する企業は多い。総務省は27日、通信の秘密が漏れるリスクなどへの対応策を議論する有識者の検討会を設けると発表した。政府には、経済安全保障の観点も十分に踏まえながら適切な制度の在り方を検討してもらいたい。

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