【主張】自民党「3敗」 有権者の厳しい声を聞け

 菅義偉首相にとって初の国政選挙となった参院長野選挙区補選と広島選挙区再選挙、衆院北海道2区補選の3つの選挙で自民党が全敗した。

 「政治とカネ」の問題や3度目の緊急事態宣言の発令という新型コロナ対策などをめぐり、有権者が厳しい判断を突きつけたといえよう。

 自民党内に緩みや驕(おご)りはなかったか。菅首相や与党幹部は政権に向けられた国民の厳しい声に真摯(しんし)に耳を傾けねばならない。

 3つの国政選挙は、与野党とも今秋までに行われる次期衆院選の前哨戦として位置づけ、党幹部が連日選挙区入りしながらの総力戦となった。

 衆院北海道2区補選は鶏卵汚職事件に絡み、収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元農林水産相の議員辞職に伴って行われた。自民党は不戦敗を決め込み、公明党も自主投票とした。これでは与党として国民に訴えるものがないと言っているのも同然である。参院長野は羽田雄一郎元国土交通相の弔い合戦の色合いが強かった。

 「政治とカネ」が最大の争点となった参院広島再選挙は、公職選挙法違反で有罪判決が確定した河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効を受けて行われた。与党にとって逆風だったが、それをはね返せなかったのは、有権者に場当たり的な対応を見透かされていたからではなかろうか。

 自民党候補は選挙戦序盤に封印していた「政治とカネ」の問題について、終盤で党本部の批判に転じるなど、真摯にこの問題に向き合ったとは言い難かった。

 折からのコロナ禍で政府は東京など4都府県に25日から緊急事態宣言を適用した。変異株が猛威を振るい、いっこうに収束する気配を見せない。ワクチン接種も他の先進諸国に比べ遅々として進んでいない。感染者の増加に伴い、病床も逼迫(ひっぱく)している。

 ウイルスと闘うのに与党も野党もない。菅首相が責任政党のトップとして、常に謙虚な姿勢で国政に臨むのは当然だ。医療体制に万全を期すなどコロナ対策に全力を挙げてほしい。

 3カ月後には東京オリンピック・パラリンピックがある。菅首相に求められるのは、目先の弥縫(びほう)策ではなく、コロナ禍への不安を取り除き、国民の健康と命を守る施策である。内外の諸課題にも果敢に取り組んでもらいたい。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ