【主張】習近平氏の演説 「内政干渉だ」は通用せぬ

 中国の習近平国家主席が、中国海南省で開かれた国際経済会議でビデオ演説を行った。

 中国政府によるウイグル人への人権侵害や、軍事力を背景にした国際法無視の海洋進出、台湾威嚇などへの懸念と批判が国際社会で高まっているが、習氏はこうした問題に直接言及することはなかった。それどころか、中国が米欧の価値観を押し付けられた被害者であるかのような発言まで行った。到底認められない。

 習氏は「中国はどれほど発展しようと、永遠に覇権を唱えず、拡張せず、勢力範囲を求めず、軍拡競争をしない。中国は世界平和の建設者、グローバル発展の貢献者、国際秩序の擁護者であり続ける」と語った。これは中国共産党政権の常套句(じょうとうく)だが、批判が集まる中でなお言い募るとは開いた口がふさがらない。中国の実際の行動は正反対ではないか。

 バイデン米政権の対中政策などを念頭に、「あらゆる形の『新冷戦』や、イデオロギーの対立に反対すべきだ」とも語った。

 だが、米中対立を引き起こした責任は中国にある。

 南シナ海や尖閣諸島(沖縄県)では、力による現状変更を目指している。世界第2位の経済力を振りかざして、意見を異にする国に通商面で不当な圧力をかけたり、「一帯一路」政策で経済、軍事一体の覇権を求めたりしている。

 日米首脳は先の共同声明で、台湾問題に52年ぶりに言及し、香港や新疆ウイグル自治区の人権状況に懸念を示した。

 習氏は「内政干渉は人々の支持を得られない」と語ったが、ウイグル人への不妊手術の強要や拷問、強制労働などの証言が相次いでいる。普遍的価値である人権をめぐる批判を「内政干渉」とはねつけることはできない。

 習氏は「一国や、数カ国が定めた原則を無理に押し付けることは許されない」と述べ、中国は米欧の価値観を一方的に押し付けられた被害者だと主張した。

 米国や日本、欧州諸国が主導して育ててきた、自由、民主主義、法の支配などに基づく正当な国際秩序に従わないという習氏の宣言にほかならない。共産党による全体主義、専制主義の価値観をもとに国際秩序を作られては世界人類の不幸となる。日本は米国や友好国と協力して、中国の不当な行動を抑止すべきである。

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