【主張】米中首脳電話会談 覇権追求「誤解」ではない

 バイデン米大統領が中国の習近平国家主席と初の電話による首脳会談を行い、「威圧的で不公正な貿易慣行」や香港問題、人権侵害で「根本的な懸念」を表明した。

 政権の優先事項として「自由で開かれたインド太平洋地域」の維持を挙げ、台湾を含めたこの地域での中国の強引な行動にも懸念を示した。

 習氏に直接、中国の非を戒め、米国の立場を明確にしたことを評価したい。日本など同盟国は一層の対中結束で呼応すべきだ。

 習氏は「台湾や香港、新疆ウイグル自治区の問題は中国の内政」であり、「中国の核心的利益を尊重すべきだ」と反発した。

 だが、これらは全て、内政問題では済ませられない。台湾威嚇は日本を含む地域の安全を揺るがす。香港の民主派弾圧は「一国二制度」の国際公約違反である。

 人権弾圧は残忍な強権国家の本質を端的に示すものだ。経済大国でもある中国で人権弾圧が横行しては、影響下にある途上国で人権状況の改善は極めて難しい。

 首脳会談で習氏は「互いの政策の意図を正確に理解し、誤解を避けるべきだ」と指摘した。だが、中国の政策のどこが誤解されているというのか。南シナ海の軍事化など力ずくの海洋進出の意図が覇権追求でなくて何なのか。

 習氏はまた、アジア太平洋の平和と安定を共同で守ることを促したという。だが、地域の平和を脅かしているのは中国である。そのことは、「自由で開かれたインド太平洋」構想を軍事機構にたとえて警戒した当の中国が一番よく知っているのではないか。

 中国は、バイデン政権の発足を、米中関係の仕切り直しの好機とみている。中国にすれば、トランプ前政権は取り付く島もなかった。バイデン氏は今回の会談でも、米国と同盟国の国益にかなうなら、中国と「実務的かつ結果志向」の関与を探ると表明した。

 会談は2時間に及んだという。バイデン氏と習氏は旧知の仲である。副大統領時代の2011年に訪中し、当時国家副主席だった習氏と対話を重ね、翌12年の習氏訪米の際は、ホスト役を務めた。

 中国は首脳の個人的な関係を含め、あらゆる外交資源を駆使し、米国の対中姿勢をやわらげようとしてくるだろう。日本は米中関係を注視し、バイデン政権が揺らがぬよう支えねばならない。

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