【主張】米のパリ協定復帰 日本の国益守り存在感を

 バイデン米次期大統領は20日の就任当日、地球温暖化防止の国際枠組みである「パリ協定」に米国が復帰するための大統領令に署名する。

 世界第2の温室効果ガス排出国であり、先進国を代表する米国が排出削減に向けて途上国を含む世界の国々と足並みをそろえる意義は大きい。

 パリ協定は各国が二酸化炭素(CO2)などの排出を減らすことで世界の気温上昇を抑えるための枠組みだ。協定の運用は昨年から始まっているが、トランプ大統領の下で離脱しており、米国不在の状態となっていた。

 米国は京都議定書からも脱退しているため、地球温暖化防止対策への初参加だ。この点でも注目される復帰である。

 バイデン次期政権は、ジョン・ケリー元国務長官を新設の大統領気候特使のポストに充てており、気候変動に対する取り組みの本気度が伝わる。中国への影響力行使を期待したい。

 パリ協定での排出削減は各国の自主目標で決められるが、中国の目標は「2030年に温室効果ガスの排出量をピークアウトさせる」というものだ。排出量を減らすどころか30年まで増やし続けることを公然と宣言している。

 中国の排出量は、米国の2倍以上に達し、世界の4分の1を占める。米国の長期の不在が中国の突出した排出を招来した一因であることは否定できない。

 バイデン氏は、大統領就任から100日以内に気候サミットを開催する考えだ。中国の習近平国家主席は昨年9月に「60年までのCO2排出の実質ゼロ化」を表明しているが、実現性の根拠が厳密に問われよう。

 その点では日本も同様だ。菅義偉首相は昨年10月に「50年までの実質ゼロ」を宣言したが、CO2削減で最も堅実な役割を果たす原発の再稼働も進まない状況で、どのように世界の首脳を納得させるつもりなのか。

 欧州諸国は脱炭素の勢いを一段と強めつつある。パリ協定の下、日本が国益と地球益を両立させるには再生可能エネルギーと原子力を主軸に国内対策に取り組み、途上国には高効率石炭火力発電の技術などを提供することで地球規模の削減に貢献すべきである。

 したたかな国際交渉力と見識が必要だ。米国のパリ協定復帰という大きな変化を好機としたい。

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