【主張】宣言地域拡大へ 首相の覚悟が意識変える

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。菅義偉政権のコロナ対応に対しても「遅い」「小出し」「後手」といった批判が収まらない。

 コロナ禍の収束に向けて国民の間に政権への不信感が存在することは不幸である。大いに反省してもらう必要がある。

 菅首相は緊急事態宣言の対象範囲を、すでに発令した首都圏の1都3県に加え、関西の3府県などに拡大する。

 7日の発令決定時に菅首相は、大阪府や愛知県について「現時点で宣言を発令する状況にはない」と述べていた。関西3府県の知事が宣言発令を要請した後の10日のNHK番組で菅首相は「もう数日の状況を見る必要がある」と語り、悠長に過ぎるとの印象を与えた。その末の対象拡大である。こうした経緯や発言が批判や不信感を招いていると知るべきだ。

 宣言発令後、最初の週末となった9日午後3時の東京・銀座の人出は、昨年4月の前回発令後初の週末に比べて3・4倍だったとの民間調査結果もある。切り札であるべき宣言が、どうも国民の心に響いていない。

 7日の首相会見に同席した政府分科会の尾身茂会長は感染を下火にする4条件を挙げた。(1)具体的で強く効果的な対策(2)国と自治体が一体感をもって明確なメッセージを伝える(3)特措法改正を急ぎ、経済支援とひもづける(4)国民のさらなる協力を得る-である。

 飲食店の午後8時までの時短要請ばかりが強調されれば、昼間の外出自粛要請の効力が薄まる。自治体、特に東京都との責任の押し付け合いは見苦しくさえ映った。特措法の成立も見通せていない。これではなかなか、さらなる協力は得られまい。

 菅首相は昨年末、「国民の皆さんの命と暮らしを守るために、先手先手に対応する」と述べた。その原点に返ってほしい。

 自治体の要請を受け、専門家の意見を聞き、検討を重ねるという現状は平時の常識であっても緊急時の方策とはいえない。

 緊急事態宣言発令の時期と範囲指定の権限は首相一人にある。必要と判断すれば、自治体の要請や分科会の開催を待つ必要はない。その強大な権限を行使するには、相応の覚悟を必要とする。

 その覚悟が見えれば、国民の大多数は意識を変え、協力を惜しまないはずである。

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