【主張】香港の一斉逮捕 暴挙に国会は非難決議を

 香港における自由と民主に対する弾圧が激化している。日本を含む国際社会は、これを座視してはならない。

 昨年6月に中国の決定で施行された香港国家安全維持法にある国家政権転覆罪の違反容疑などで民主活動家ら50人以上を一斉に逮捕した。

 昨年7月、次期立法会(議会)選へ民主派が候補者を絞り込むために行った予備選に関わった人物が逮捕者の大半を占める。民主的選挙の準備が「国家転覆」にあたるという、露骨極まりない容疑である。

 中国共産党機関紙、人民日報傘下の「環球時報」は一斉逮捕に関する社説で、香港の民主派は立法会での過半数獲得で政府機能のまひを狙っており、逮捕は当然だと主張した。選挙で過半数を目指すことが犯罪だというのだ。

 昨年11月、立法会議員に「忠誠」などの資格要件を新設したことと合わせ、中国共産党の支配を批判する勢力には、選挙への参加も許されないことになる。

 これはもう、民主主義や「一国二制度」の国際公約の完全否定である。

 逮捕者には、米国人弁護士も含まれた(後に保釈)。国安法違反による初の外国人逮捕である。ポンペオ米国務長官は「米国は自国民に対する恣意(しい)的な拘束や嫌がらせを容認しない」と述べ、国家政権転覆容疑での一斉逮捕には「非道な行いだ」と非難した。

 これに対し中国外務省の華春瑩報道官は「全ての国家や組織、個人による香港への干渉に断固反対する」と反発した。

 逮捕された香港人の元議員の1人は、昨秋から東大大学院に在学中だった。一時的に香港に戻った翌朝、感染症予防のため隔離中のところを香港警察に踏み込まれたのだという。

 十分に日本政府が説明を求めるに値する事案である。だが、加藤勝信官房長官は「わが国の立場に照らして許容できず、重大な懸念を強めている。関係国と適切に対応する」と述べるにとどめた。

 米国は大統領選をめぐる混乱の中でも、言うべきことは言っている。日本政府はいつまでも「懸念の表明」でこと足りるのか。

 菅義偉首相は中国と香港両政府に対し、民主派一斉逮捕の暴挙に抗議すべきだ。国会は衆参両院で両政府に対する非難決議を採択すべきである。

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