【主張】「慰安婦」賠償命令 歴史歪める判決を許すな

 元慰安婦らが起こした訴訟で韓国の裁判所が、あろうことか日本政府に賠償を命じた。

 判決は、史実を歪(ゆが)めて慰安婦問題を日本による「犯罪行為」と決めつけた。国家は他国の裁判権に服さないという国際法上の「主権免除」の原則を踏みにじった。このような不当極まりない判決は直ちに撤回されるべきだ。

 秋葉剛男外務事務次官は韓国の南官杓駐日大使を外務省に呼んで、「断じて受け入れられない」と抗議した。

 韓国で故人を含む元慰安婦ら12人が、日本政府を相手取り、損害賠償を求めていた。ソウル中央地裁は原告の請求通り1人当たり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じた。

 判決は事実無根で耳を疑う。日本による「計画的、組織的、広範囲に行われた反人道的な犯罪行為」などと断じたが、調査や実証的研究で、女性を組織的に連れ去って慰安婦にしたという「強制連行」説は否定されている。

 原告の元慰安婦は、「現在まで被告からきちんとした謝罪や賠償も受けていない」とするが、これも誤りである。

 日韓両政府は2015年の合意で慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認済みだ。日本政府拠出の10億円をもとに支援財団がつくられ、多くの元慰安婦が現金支給事業を受け入れた。合意を反故(ほご)にして財団を一方的に解散したのは文在寅政権である。

 今回のとんでもない判決がまかり通れば、慰安婦を「性奴隷」として日本を貶(おとし)める嘘が世界に広がるばかりだ。判決は日本の朝鮮統治を朝鮮半島の「不法占拠」とした。朝鮮統治時代の日本政府や民間の行為に難癖をつける損害賠償訴訟を誘発しかねない。

 日本政府は国際法上の「主権免除」の原則を踏まえ、訴えの却下が相当とし、審理に出席してこなかった。訴訟自体を認めないため控訴はせず、判決文の受け取りも拒む方針だ。今後、日本政府の韓国内資産が差し押さえなどの強制執行の対象となり、一方的に売却される恐れがある。日本の国家主権への侵害といえる。

 加藤勝信官房長官は会見で、韓国が国際法違反を是正すべきだと表明した。問題解決が遅れるようであれば、日本政府は韓国側に無法を是正させるための実効的な措置をとらなくてはならない。

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