【主張】緊急宣言発令へ 「一点突破」では不十分だ

 菅義偉首相は4日の年頭会見で、新型コロナウイルスの感染拡大が年を越して深刻化している東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県について、緊急事態宣言発令の「検討に入る」と表明した。

 菅首相は、経路不明の感染の多くは飲食が原因だと指摘し、「飲食の感染リスク軽減を実効的なものとするため、早急に内容を詰める」と述べた。

 昨春、当時の安倍晋三首相が発令した緊急事態宣言下で社会・経済活動が幅広く自粛対象となった。それでも宣言解除までに約2カ月を要した。これに対し菅首相は飲食に的を絞り、限定的、集中的な「一点突破策」で首都圏の感染拡大を抑えたい考えを示した、といえる。

 飲食を対象とした実効的な対策は必要だ。一定の効果は期待できる。ただし、飲食店の営業時間短縮(時短)が感染拡大の抑止につながったとみられる北海道や大阪でも、いまだ感染の収束には至っていない。

 昨年夏の第2波では、いわゆる「夜の街」を対象に集中的な対策が実施され、その効果はあったものの市中感染を止めることはできなかった。

 限定的、集中的な対策だけでは、短期間に新型コロナウイルスを抑え込むことはできないことを、これまでの経験から認識する必要がある。

 飲食店の時短以外では、大都市圏から地方への、これ以上の拡散を止めることが重要だ。菅首相は会見で、緊急事態宣言を発令すれば「Go To トラベル」の再開は困難という認識を示したが、再開できる状況にないことは明らかである。

 地方への拡散を防ぐには、人の移動を奨励するトラベル事業の停止だけでなく、首都圏と地方の人の往来を制約する強い手立てが必要ではないか。

 一方、菅首相は、2月下旬にはワクチン接種を開始できるよう準備を進めると明言した。

 ワクチン接種の早期実行とともに喫緊の最重要課題は、ウイルスの変異株に対する水際対策の徹底である。変異株の拡散を許せばすべてのコロナ対策が無駄になりかねない。

 菅首相には緊急事態宣言の発令時に、より強く、具体的なメッセージを、国民に向けて発信してもらいたい。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ