【主張】対北ビラ禁止法 撤回し国際社会に説明を

 韓国は本当に民主主義国なのだろうか。そう疑念を持たざるを得ない内容の法律が成立した。

 韓国で北朝鮮に向けたビラ散布を禁止することを柱にした「対北朝鮮ビラ散布禁止法」だ。

 配布が禁止されるのはビラだけでなく、金銭やUSBメモリーも含まれる。違反すれば3年以下の懲役または3千万ウォン(約280万円)以下の罰金が科される。

 なぜこのような法律を成立させたか、文在寅政権は国際社会に説明する義務がある。

 制定のきっかけは北朝鮮の「命令」だ。今年5月、韓国の脱北者団体が北朝鮮の金正恩体制を非難するビラを散布したことに正恩氏の妹、金与正朝鮮労働党第1副部長が反発し、翌月、「禁止法でも作れ」と談話を発表すると、文政権はすぐに法整備に着手した。

 「北朝鮮の機嫌を取るために、韓国国民の表現の自由と北朝鮮の人々の知る権利を引き渡した法律」(韓国保守系紙)には国内だけでなく、海外からも強い非難と懸念の声が上がっている。

 米議会の「トム・ラントス人権委員会」は来年1月にビラ禁止法をめぐり聴聞会を開く。同委員会の共同議長を務めるスミス下院議員は「最も残忍な共産主義政権から苦しめられている住民らを支援する行為を犯罪化している」と批判した。聴聞会が過去に取り上げたのは北朝鮮や中国などの人権状況で、同盟国が対象となるのは極めて異例だ。文政権はこのことを恥じ入らなければならない。

 英上院の「北朝鮮問題に関する超党派グループ」はビラ禁止法について韓国政府に再考を求めるよう英政府が動くことを促した。国連からも施行を再考するよう勧告する声が出ている。文政権や与党は、「内政干渉だ」と反発しているが、ことは国内や南北関係にとどまらない。法律に表れた文政権の従北姿勢が米韓関係に影を落とすのは必至だからだ。

 次期大統領の就任を確実にしたバイデン米前副大統領は北朝鮮の人権問題を重視した外交方針をとると目されており、韓国が米国の新政権と早々に衝突することも予測されている。米韓の揺らぎは東アジアの不安定要因だ。

 文政権は対米で結束する中国、ロシアに付け入らせる隙を自ら差し出しているようなものだ。韓国が民主国家だというのなら、この法律を撤回すべきである。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ