【主張】安倍氏秘書を起訴 政治家として責任は重い

 「桜を見る会」前日の夕食会費用を後援会が補填(ほてん)した問題で、東京地検特捜部は24日、安倍晋三前首相の公設第1秘書を政治資金規正法違反罪で略式起訴した。

 安倍氏は嫌疑不十分で不起訴処分となった。理由は「収支報告書の作成に関与し、不記載を認識していたという証拠はない」というものだった。

 安倍氏は特捜部の任意の事情聴取に「知らなかった」と不記載への関与を否定していた。秘書も安倍氏に「払っていない」と虚偽の報告をしていたと供述したとされる。これを突き崩すだけの証拠はない、ということである。

 政治家が「秘書が」で逃げ切る構図は、過去に何度も目にしてきた。長く首相を務めた安倍氏もその列に加わったことになる。

 安倍氏は同日の記者会見で「私が知らない中で行われたとはいえ、道義的責任を痛感する」「深く反省するとともに、国民におわび申し上げる」などと述べた。

 「知らなかった」としても事務所、後援会の統治不全は深刻であり、責任の重さは変わらない。

 安倍氏は首相在任時、国会での追及に、何度も事実関係を否定していた。これらは全て虚偽答弁となり、安倍氏は会見で「深くおわび」することになった。

 規正法は昭和23年、政治資金の透明性を担保するために制定された。その後、田中角栄元首相の金脈問題やリクルート事件、日歯連闇献金事件などの不祥事が起きるごとに改正が繰り返されたが、ザル法と揶揄(やゆ)されてきた。

 法律上の不起訴は、政治家としての潔白まで証明しない。

 もともと同法で直接罪に問えるのは会計責任者らで、政治家が刑事責任を問われるのは会計責任者との共謀が認定されるか選任と監督の両方を怠った場合に限られ、極めてハードルが高い。だが、国会から規正法の抜本改正を求める声は聞こえてこない。

 安倍氏は議員辞職や自民党離党を否定し、「信頼を回復するために、あらゆる努力を行っていく」と語った。今後の政治活動に期待するためには、安倍氏が今回の問題への謝罪の実を身をもって示せるかにかかっている。

 25日には衆参両院の議院運営委員会で答弁を訂正するが、まずはそこでの質疑で自身と事務所の不実を潔く認めて謝罪し、全ての経緯を詳(つまび)らかにすべきである。

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