【主張】洋上風力の拡大 国産技術の育成に努めよ

 次世代の再生可能エネルギーとして期待されている洋上風力発電をめぐり、政府と民間企業などで組織する官民協議会が2040年までに発電能力を最大4500万キロワットに高めるとする産業ビジョンをまとめた。

 菅義偉政権は、50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする方針を打ち出している。そこでは再生エネの導入拡大も掲げており、洋上風力をその中心的な存在に位置付ける考えだ。

 欧州では洋上風力が広く普及しているが、日本はほとんど実績がない。今回、高い目標を示したことで民間や自治体の活発な投資を促し、着実な普及を図りたい。

 そのためには国内で風力発電産業を育成し、健全な競争を通じて発電コストを引き下げる必要がある。一定割合の国産部品の調達を求めるなど、政策的な後押しも欠かせない。

 海上の風を利用して風車を回して発電する洋上風力は、騒音などの問題が起きにくく、大規模な発電設備を整備しやすいのが特徴だ。陸地より海上の方が安定して強い風が吹くため、高い発電効率も期待できるという。

 すでに欧州では発電能力で2千万キロワットの導入実績があるが、日本では実用化が遅れて一部の実証設備の稼働にとどまっている。国内で関連産業も育っていない。洋上風力を新産業として育成するため、高い整備目標を踏まえて企業の積極的な参入を促したい。

 ただ、遠浅の海が多い欧州では、風車の土台を海底に固定する着床型が主流だ。このため、設置費が比較的安いが、日本では海に浮かべる浮体型が中心になるとみられ、設置費や運転コストが高くなる可能性がある。日本で洋上風力の着実な普及を図るには発電コストの引き下げが不可欠だ。

 また、4500万キロワットの導入目標を地域別にみると、北海道と東北、九州地域が全体の8割を占める。東京や大阪など電力の大消費地とは離れており、発電場所から需要地まで効率的に電気を送る送電線網の整備も課題だ。

 洋上風力は発電設備などの部品が数万に及び、近くの港に整備拠点が必要となる。地域にとっては雇用を生み出す役割も果たすために期待は大きい。現在は海外メーカーが中心だが、政府は風況調査などでも民間を支援し、国産技術の育成に努めてもらいたい。

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