【主張】コロナワクチン 一日も早い接種の開始を

 米製薬大手ファイザーが18日、新型コロナウイルス感染症のワクチンの製造販売承認を厚生労働省に申請した。

 一日も早く国民が接種を受けることができるよう、有効性と安全性の評価を迅速に行うとともに移送や保存、接種の態勢を万全に整えておかなくてはならない。

 急ぐ理由は第一に医療崩壊を防ぐためだ。各地の医療機関からはすでに悲鳴が聞こえている。東京都は17日、医療供給体制の警戒度を最も深刻な「逼迫(ひっぱく)している」に引き上げた。

 専用病床の増加や自衛隊の支援などでぎりぎりの体制維持を図っているが、患者を減らす以外に抜本的な解決策はない。

 第二に経済社会活動の復活である。人の移動の制限や飲食店の時短営業要請がいつまでも続けば、経済はもたない。接種が始まった米英やカナダなどよりも日本の経済社会活動の復活が大幅に遅れるのも望ましくない。

 人々が日常生活を取り戻すためには、感染の収束が不可欠である。それにはワクチンの積極運用が決め手となる。

 ワクチンの接種には副作用の危険性がつきまとう。安全性の評価に慎重さが求められるのは当然だが、今は非常時でもある。

 角を矯めて牛を殺す結果となってはいけない。

 ファイザーのワクチンは同社の臨床試験で新型コロナの発症リスクを95%抑える効果があったとされ、すでに米国、英国では接種が進んでいる。

 両国は実質的に多人種国家であり、先行例は十分参考になるはずだ。あらゆる知見を駆使して早期の接種開始に結び付けてほしい。政府は接種事例の情報を丁寧に集め、良い情報も悪い情報もオープンにする必要がある。

 米国では年内に米バイオ企業モデルナのワクチン接種も始まる見込みだ。欧州連合(EU)もモデルナのワクチンの販売許可の判断を来年1月6日に前倒しする。

 政府はファイザーと英製薬大手アストラゼネカのワクチン各1億2000万回分、モデルナのワクチン5000万回分の提供を受けることで基本合意済みだ。

 コロナ禍収束の切り札となり得るワクチン接種には期待と不安がある。その重要性や安全性担保について、菅義偉首相自ら国民に分かりやすく語りかけてほしい。

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