【主張】「GoTo」見直し 専門家の言を聞くときだ

 新型コロナウイルス対策をめぐる専門家会合の提言に、政府は耳を傾け取り入れるべきだ。

 政府の新型コロナ感染症対策分科会(尾身茂会長)が、感染が急拡大するステージ3相当地域を状況により3段階に分け、拡大が続く地域内での外出自粛や、観光支援事業「Go To トラベル」の一時停止を求めた。

 厚生労働省に助言する専門家組織(脇田隆字座長)は、国や自治体の感染抑止対策について「成功しているとは言い難い」とする分析を示した。

 その一方で、菅義偉首相は、インターネット番組で、年末年始を含むトラベル事業の一時停止を「まだそこは考えていない」と否定した。

 専門家組織は、20~50歳代の世代で移動歴のある人による二次感染が、その他の世代と比べ多いという分析も示した。人の動きを抑えるべき局面であるのに、国民に対して逆のアナウンス効果のあるトラベル事業に政府がこだわるのは疑問だ。

 最近の1日当たりの全国新規感染者数は最多を更新している。10日の東京は初めて600人を超えた。さらに懸念されるのは、北海道旭川市や大阪府の一部などで医療提供体制が極めて厳しい状態になったことだ。コロナ患者用の病床を確保しても、そこで働く看護師らの手配が間に合わず、自衛隊が期間を区切って看護官らを派遣する事態となった。局地的に医療崩壊の状態に陥ったといえる。

 全国の自衛隊病院の多くがコロナ患者を受け入れ、地域の医療にも従事している。自衛隊からの大規模、長期の看護官派遣はできない。政府と自治体は、地域の医療体制を守る具体策を急ぎ講じなければならない。真っ先に取り組むべきは、人の動きを一時的に抑え感染者数を減らすことだ。

 医療体制の逼迫(ひっぱく)はコロナの分野にとどまらない。すでに、その他の医療へもしわ寄せが生じ始めている。予定された手術や救急受け入れの制限をせざるを得ない例が出てきている。年末年始に向け、このような状況がさらに広がれば、経済活動にも大きな支障をもたらす。

 西村康稔経済再生担当相は会見で「専門家の皆さんと強い危機感を共有した」と語った。菅首相もそうであることを行動で示してもらいたい。

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