【主張】税制改正大綱 格差是正の議論を始めよ

 自民、公明両党がまとめた令和3年度与党税制改正大綱は、新型コロナウイルスの感染拡大による景気の悪化に対応し、経済の下支えのための減税項目が並んだ。

 住宅ローン減税の特例延長やエコカー減税の延長などを盛り込んだ。固定資産税の評価替えで、地価上昇によって課税額が増える場合には、今年度と同額に据え置くことも決まった。

 コロナ禍で暮らしや産業が直面する厳しい事態を受け、税制を通じて各種の支援策を講じるのは当然である。使い勝手を含めて実効性を高めてほしい。

 ただ、今回の税制改正大綱からは、コロナ後を見据えて格差の是正に取り組む姿勢は見えない。貧富の差が拡大すれば、社会の活性化も期待できなくなる。格差是正に向けて本格的な議論を始めるべきである。

 通常より住宅ローン減税の適用期間を延ばす特例について、今年末としてきた入居期限を2年延長する。対象となる住宅面積も現行の50平方メートル以上から40平方メートル以上に拡大する。新型コロナの影響で落ち込む住宅販売をてこ入れするのが狙いだ。

 また、次世代を見据えて脱炭素やデジタル化を促す税制も導入する。温室効果ガスの排出削減のための設備投資について、その事業計画が認められれば、法人税から最大10%を控除する。

 環境性能が高い電気自動車や燃料電池車には、車検時にかかる自動車重量税を減免する措置なども継続する。

 菅義偉政権は、2050年までに温室ガス排出を実質ゼロにする目標を掲げている。この実現には革新的な技術開発が不可欠だ。手厚い支援を講じてほしい。

 しかし、今回のコロナ禍では飲食・宿泊などのサービス業に携わる従業員の失業が増加している。一方で株価は金融緩和を背景に実体経済を上回る高値水準で推移している。これによって貧富の格差が拡大する傾向が一段と強まっているといえる。

 給与などの所得課税の最高税率は45%だが、株式や預貯金などの金融課税は原則20%と低く抑えられている。

 豊富な金融資産を持つ富裕層が、低い税率でより多くの資産を生み出す構図にある。総合的な金融課税などを検討して格差是正につなげたい。

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