【主張】学術会議で提言 軍事研究妨害の撤回促せ

 日本学術会議の在り方を検討する自民党のプロジェクトチームが、政府の機関である学術会議を独立した法人格を持つ組織へ改めるよう求める提言をまとめた。党内手続きを経て、近く政府へ提出する。

 提言は、令和5年9月までをめどに組織改編を行うことが望ましいとした。政策提言のためのシンクタンク機能強化や会員選考基準の見直しを求めた。改編後も政府による一定の運営費の支出があるべきだとした。

 いずれも妥当ではあるが、極めて物足りない。学術会議が日本の抑止力を高めるための軍事科学研究に反対してきた重大な問題に一切触れず、是正を求めていないからだ。プロジェクトチームの塩谷立座長は9日の会合で、軍事研究などの問題について「あえて今回は議論しない」などと述べたが逃げてはいけない。

 学術会議は平成29年3月の声明で、軍事科学研究を「絶対に行わない」とした過去の声明の継承を宣言した。法的拘束力がないから問題ないとは言えない。大学や研究機関に影響を及ぼしたのである。防衛省の予算で軍民両用技術の研究を助成する「安全保障技術研究推進制度」への応募は激減してしまった。

 27年度の大学からの応募は58件だったが、令和2年度は6分の1以下の9件に減った。日本の安全保障のために軍民両用技術を研究しようとする大学、研究者の「学問、研究の自由」を侵害したのではないか。

 学術会議の声明は、侵略を未然に防ぎ、万一の有事には敵を撃退する防衛力、抑止力を整える意義を否定するのと変わらない。

 その一方で学術会議は、科学技術の分野でも「軍民融合」路線を進める中国の科学技術協会と、協力促進の覚書を結んでいる。

 自国の防衛省との協力に反対し、中国人民解放軍の強化に取り組む同国の科学技術機関とは不用心に協力を進めていいものか。

 だが、学術会議に反省の色はない。菅義偉首相に権限がある一部会員候補の任命見送りにこだわっている。

 軍事研究を妨げる声明の撤回や棚上げが急務だ。それなしに税金から運営費を支出するのは理解できない。政府が今後まとめる改革案にはこれらの点が最優先で盛り込まれなくてはならない。

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