【主張】はやぶさ2 「挑戦」の大切さを学ぼう

 探査機「はやぶさ2」から分離されたカプセルは、ひと筋の火球となってオーストラリア南部の砂漠に落下し、無事に回収された。

 カプセルには、小惑星「リュウグウ」で採取した試料が収まっているはずだ。太陽系の成り立ちや生命の起源に迫る成果が期待される。

 はやぶさ2は、小惑星からの試料回収(サンプルリターン)を完璧に成し遂げた。初代の「はやぶさ」から世界をリードしてきた無人機による探査技術をさらに確固たるものとした。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の開発・管制チームを大いに称(たた)えたい。

 はやぶさ2のプロジェクトを率いるJAXAの津田雄一さんは、「初代で学んだことをすべてつぎ込んだ」と語った。

 2010年に小惑星「イトカワ」の微粒子を持ち帰った初代はやぶさは、主エンジンの故障や通信途絶など相次ぐトラブルで絶体絶命の状況に陥りながら、奇跡的に地球帰還を果たした。

 初代とは対照的に、はやぶさ2ではすべての計画が順調に運んだようにみえるが、初代の経験に学び、あらゆる可能性を追求して困難を乗り越えた自信を受け継いだことが、2代目の「完璧な成功」につながったのである。

 初代から受け継いだ精神が色濃く反映されたのは、リュウグウにつくった人工クレーターから地中の試料を採取した2度目の着陸である。着陸の難度は極めて高く、失敗すれば1度目の着陸で採取した試料も失いかねない。慎重論もあるなかで、成功の可能性を徹底的に追求し、自信を持って決行に踏み切った。

 カプセルを地球に届けたはやぶさ2は、別の小惑星1998KY26に向かっている。当初の計画にはなかった片道11年の旅路である。「できることは全部やる」という精神から生まれた新たな挑戦といえるだろう。

 日本と世界の将来を担う世代には特に、「できることは全部やる」という精神と「挑戦」の大切さをくみとってもらいたい。

 世界の宇宙開発は今後、月や火星の有人探査が主舞台となっていく。日本としては、はやぶさで培った無人探査技術をさまざまな局面で生かし、存在感を発揮することが重要だ。科学技術や産業の広い分野に、はやぶさの挑戦と快挙が波及することを期待する。

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