【主張】鳥インフル拡大 防疫態勢の迅速な強化を

 致死率の高い高病原性鳥インフルエンザが11月以降、国内各地の養鶏場で広がっている。

 香川県での最初の発生から1カ月で、全国の殺処分数は200万羽を超え統計が残る平成15年度以降で最多となった。

 極めて深刻な事態である。野上浩太郎農林水産相は「大変厳しい。全国どこでも発生するリスクがある」と危機感を表明した。

 これ以上の蔓延(まんえん)を食い止めるには養鶏場などの防疫態勢を早急に強化しなければならない。感染が見つかったときは、殺処分などで迅速に対処する必要もある。

 国や自治体は一体となり、そのための人員確保や財政的な支援に万全を尽くしてもらいたい。

 香川県三豊市の養鶏場で飼養鶏が大量に死に、遺伝子検査したところ、H5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザに感染した可能性があることが判明した。33万羽を自衛隊の協力で殺処分した。

 その後、福岡県宗像市、兵庫県淡路市、宮崎県日向市、奈良県五條市、広島県三原市などの養鶏場でも発生が確認された。シベリアから来た渡り鳥がウイルスを保有し、野鳥などを介して鶏などの家禽(かきん)に感染したとみられる。

 養鶏場などの家禽が多数死ぬといった異変があれば、県の家畜保健衛生所や獣医師などに迅速に通報しなければならない。それが感染拡大を防ぐ基本である。

 関係当局は、迅速な発見につなげるためにも適切な通報を促すべきだ。さらに、その後の検査や感染確認時の殺処分などの対応が滞ることがないよう、十分な態勢を整えることが急務である。

 養鶏農家にも防疫対策を徹底してほしい。すでに発生した地域に近い農家はもちろん、渡り鳥が飛来するため池が近くにある養鶏場は、特に注意が必要である。

 今回、感染が見つかった多くの養鶏場では、防鳥ネットや金網が破損し、ネズミなどの小動物が侵入した形跡がみられた。

 家禽舎ごとの手袋・長靴の交換や、畜舎周りや出入り車両の消毒といった衛生管理を強めるべきである。自治体側も、防鳥ネットの整備などできめ細かく農家を支えていくことが肝要である。

 国内では鶏肉や鶏卵を食べて人に感染した事例は報告されていない。人への感染を過度に心配し、いたずらに不安を煽(あお)ることは厳に慎みつつ、対応に当たりたい。

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