【主張】元農水相に現金 政治家は説明責任果たせ

 自民党の竹下亘元総務会長は3日、「政治家は自らに降りかかったさまざまな疑惑や問題について自ら説明する以外に方法がない」と述べた。

 業者から現金供与を受けたとされる吉川貴盛元農林水産相や、「桜を見る会」前日の夕食会で後援会が会場への支払いの一部を補填(ほてん)したとされる安倍晋三前首相を念頭に置いた発言である。

 その言やよし、ではあるが、現実の政治家からは、とんと納得のいく説明が聞かれない。

 吉川氏には大臣在任中、鶏卵生産大手「アキタフーズ」のグループ元代表から複数回にわたり現金計500万円を受け取った疑いがある。元代表は、東京地検特捜部の任意の事情聴取に現金提供を認め「違法という認識があった」と供述しているのだという。

 農水相には幅広い決定権がある。鶏卵業界は当時、家畜を快適な環境で飼育する「アニマルウェルフェア」の国際基準緩和や鶏卵の取引価格が基準を下回った場合に差額の9割が補填されるなどの「鶏卵生産者経営安定対策事業」をめぐり、農水省や農水族議員への働きかけを強めていた。

 金品授受、職務権限、請託の3要素がそろえば贈収賄事件が成り立つ。だが吉川氏は不整脈を訴えて入院し、「ご心配をかけていること」を「おわび」して、党の役職を辞任した。それも健康上の理由である。

 国民は心配していない。政治家としての説明責任を果たしてもらいたいだけだ。

 「桜を見る会」をめぐる疑惑に「事務所としては(捜査に)全面協力している」とのみ述べた安倍氏にも、同様のことがいえる。

 安倍内閣では公選法違反罪で公判中の元法相、河井克行被告や、IR汚職で起訴されたIR担当の元内閣府副大臣、秋元司被告の事件もあった。

 河井被告の妻で同罪で公判中の案里被告と吉川氏、秋元被告の3人は、いずれも自民党二階派の所属だった。

 自身の事務所が捜査対象となっている安倍氏はもちろん、当時の官房長官だった菅義偉首相や、派閥の長である二階俊博自民党幹事長にも相応の責任ある発言が求められる。

 そこから逃げていては、不信感が募るばかりだ。政権が信を失えば、国民はついていかない。

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