【主張】観客動員とコロナ 冬場の乗り切りに全力を

 プロ野球の日本シリーズはソフトバンクの4連覇で幕を閉じ、試合を残すサッカーJ1でも川崎が優勝を決めた。

 新型コロナウイルス禍が広がる中、収容人数の50%を上限に観客を入れたスポーツの興行では、今のところ観客のクラスター(感染者集団)が出ていない。

 だが、感染拡大は続いており、政府は50%の上限を来年2月末まで継続する。年末年始に多くのスポーツイベントが控える中、楽観できる状況ではない。

 J1は鳥栖と柏のチーム内でクラスターが発生した。保健所による濃厚接触者の特定が間に合わず、やむなく試合を延期したケースもみられた。集団行動の多いサッカーならではの危機管理の難しさだが、競技現場での感染防止策はまだ万全ではない。

 横浜スタジアムなどでは観客数の上限を緩和したコロナ対策の実証実験が行われた。プロ野球とJリーグが定期的に開く対策連絡会議では、感染症の専門家から「来季から100%の観客を入れるのは可能」との見解も一度は示された。観客が節度を守れば、感染のリスクは抑えられるということなのだろう。

 ただし、観客動員は、緊急事態宣言の再発令がなされない社会の維持が前提である。

 Jリーグはシーズン中に、濃厚接触者の特定に関する独自基準を設け、開催要件を緩和した。日程の消化は確かに大事だが、選手と観客の安全確保がなされた上での話である。来季に向けた基準の再構築を急ぐべきだ。

 経営への打撃に備えた対策の充実も欠かせない。各球団や各クラブの努力には限界がある。プロ野球界、サッカー界全体で危機に対処してほしい。

 正月の箱根駅伝は毎年100万人以上の観衆を集めるといわれ、主催者側は沿道での観戦自粛とテレビ観戦を呼び掛けている。ファンの理解と協力があってこそ、コロナ禍での大会が成り立つことを忘れてはならない。

 年末年始のスポーツイベントを無事に終えた先に、来夏の東京五輪・パラリンピックも見えてくるはずだ。来春には、コロナ禍で未開催だった競泳などのテスト大会が行われ、競技によっては観客動員や海外選手の参加も計画されている。安全な運営を積み重ね、何としても本番につなげたい。

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