【主張】桜を見る会 安倍氏はしっかり説明を

 政治家には説明責任がある。まして首相在任時の国会答弁が事実ではなかった可能性がある。

 捜査とは別に、自ら進んで経緯をつまびらかにすべきだろう。新型コロナウイルスの感染対策をはじめ、喫緊の課題は山積している。

 ずるずるとこの問題を長引かせることこそ最悪である。安倍晋三前首相には、迅速で明確な説明を求めたい。

 安倍氏の後援会が「桜を見る会」の前日に主催した夕食会で、会場となったホテル側への支払いの一部を安倍氏側が補填(ほてん)し、政治資金収支報告書に記載していなかったことが分かった。

 有権者への寄付を禁じる公職選挙法(寄付行為)や政治資金規正法に違反しないか、東京地検特捜部が調べている。特捜部の聴取に、安倍氏周辺はすでに、不足分の補填を認めているとされる。

 安倍氏はこれまで、国会での追及に何度も補填の事実を否定してきた。安倍氏周辺によれば、補填と報告書不記載を知る秘書が安倍氏に「払っていない」と虚偽の報告をしていたのだという。

 それが事実なら、安倍氏本人を刑事責任に問うことは極めて難しい。ただし、政治家としての責任は別である。

 安倍氏は「事務所としては(捜査に)全面的に協力している」と話している。同氏の国会招致を求められた菅義偉首相は「安倍氏は捜査に全面的に協力すると述べている。国会のことは国会で決めることだ」と事実上、拒否した。

 だが疑惑の構図は単純である。特捜部の捜査を待たずとも、事務所の内部調査で十分に事足りる。調査の不十分がこの事態を招いたとの反省があるなら、正確で詳細な内部調査結果を自ら公にし、謝るべきは謝ればいい。

 「桜を見る会」をめぐっては、詐欺罪で起訴された「ジャパンライフ」の山口隆祥被告が、同会の招待状を勧誘セミナーの宣伝に利用していたことが分かっている。いわば、多くの被害者が多額を失った詐欺事件の小道具に使われたことになる。山口被告を同会に招待した経緯についても、併せて明らかにすべきである。

 政治とカネをめぐるさまざまな事件で、「秘書が」「秘書が」と繰り返す政治家の情けない姿をみてきた。安倍氏には前首相として、そうした過去の醜態とは一線を画す潔い姿をみせてほしい。

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