【主張】G20首脳会議閉幕 開催の意義問い直すべき

 オンライン形式で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が閉幕した。

 新型コロナウイルス克服に向け、あらゆる政策手段を使って各国が協調することを骨子とした首脳宣言を採択した。

 宣言には、ワクチン供給で期待される複数の国で、共同購入する国際的な仕組みや日本が提案した枠組みでワクチンの特許権を国際的に共有して価格を抑える「特許権プール」への支持も盛り込まれた。

 ワクチンをめぐっては、米製薬大手が緊急使用許可を申請するなど、実用化への期待が高まっている。宣言を画餅に終わらせないためにも、各国にはより一層の協調が求められる。

 とりわけ重要なのが、発展途上国を含むすべての国への公平な普及だ。一部の国だけが感染を収束させても、途上国が取り残されれば、世界的流行は抑えられないからだ。特許権プールを実効性のあるものとするためにも、先進国がワクチンの囲い込みに走らぬよう国際的な枠組みをしっかり機能させることが大切だ。

 提案した日本の菅義偉首相にはその先頭に立ってもらいたい。

 残念なのは、本来ならリーダーシップの発揮が期待される米国が新政権への移行にもたつき、存在感を発揮できなかったことだ。

 米国第一主義を掲げるトランプ大統領は、多国間協議を軽視する姿勢が目立っていた。この日はG20が経済発展と繁栄に向けて協力していくことの重要性にこそ言及した。しかし、トランプ氏は冒頭の議論に参加した後、新型コロナに関する関連会合に出席せず、ワシントン近郊のゴルフ場に向かったという。

 一方、中国の習近平国家主席は独自の健康管理システムの国際的な普及を唱えるなど、新型コロナ対策を通じて影響力を高めることに腐心した。

 G20サミットはリーマン・ショック後の2008年、世界経済の実態を忠実に反映させるため、中国やロシア、インドなど新興国も参加して始まった。だが、先進国と新興国の間で自由貿易や地球温暖化対策など利害が錯綜(さくそう)して中途半端に終わるケースが目立つ。

 2国間会談の場としても利用されてきたG20だが、オンラインでは不可能だ。拘束力ある数値目標一つ出せぬ会合のあり方を見直す時期にきているのではないか。

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